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» 2012年07月04日 08時00分 公開

怒りは百害あって一利なしビジネスマンの悩み相談室(2/2 ページ)

[細川馨(ビジネスコーチ),ITmedia]
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怒ることのデメリット

 I部長のように怒ってばかりいて、感情的になると、どんなデメリットがあるだろうか。まずは自分をコントロールできない人と思われる。自分すらコントロールできない人が人をコントロールできるわけがないはずで、周りからもそう思われる。そして人間関係に支障をきたす。怒ってすぐに感情的になる上司を信用する部下はいないはずである。怒ることは自分の未熟さを露呈することになり、そんな上司についてくる部下は皆無である。

 一方で、自分に対しても嫌気がさしてくる。つまり怒っている自分に腹が立ってくるのである。声を荒げ、怒鳴っているうちに自分が嫌になり、さらに声を荒げる。負のスパイラルに入っていく。

 実はかく言う私も以前はよく声を荒げていた。部下が思い通りに動かなかったり、成果を残せなかったりすると、どなることも多々あった。しかし、あるきっかけで怒らなくなり、結果的に心の平穏を取り戻した。まったく怒らないというわけではないが、必要以上に声を荒げたり、感情的にならなくなった。

 最近部下に自分の印象を率直に聞いてみた。

 「以前は本当にきつく感じることがあり、話を聞いてくれない、分かってくれないという雰囲気もありました。意見を言うのもはばかられたときがありました。ただ最近は、自分が受け入れられていると感じ、話もしやすくなりました」と率直にフィードバックをもらった。

 感情的に怒っていたことで、部下が自分に対してどんなことを思っていたのか、まざまざと知る機会になった。

怒りをどうコントロールするか

 それでは、怒りをどうコントロールしたらいいだろうか。

 何かを発言するとき、まずは一呼吸置くようにするといいだろう。相手の言ったことに対してかっとなって発言すると、怒るような口調になる。すぐに発言するのではなく、少し間を置いて話すようにすることをお勧めする。そして、自分が怒ることでどんなことが起こるかを少し想像してみることである。少し考えれば、何のいいこともないのが分かる。その時間を持つことで、怒ることが軽減されたりするのである。

 もちろん指摘すべきことがあるのに怒るべきではない、と言っているわけではない。言うべきことは言うべきである。ただし、その言い方に気をつける必要がある。

 「なんでやっていない」ではなく、「なぜできなかったか話してごらん」「どうしたらできるようになるか考えてみよう」と歩み寄り、相手を理解するように話すことが大切である。相手の目を見ながら、ゆっくり話すのである。君に歩み寄っている、ということを示してあげる。

 怒ったことについて、後から冷静に考えるとくだらないことだったと感じることがよくあるのではないだろうか。なんでこんなことで怒ったのだろうと思えたりすることもある。一呼吸置き、自分の怒りがどんな影響を及ぼすかをちょっと考える。それだけで大きな違いが起きるのである。

 人は真面目だと思われると、何事もスムーズに進むようになる。逆に怒ることで長期的な信頼が破壊され、いったん破壊されると、その修復にはかなりの時間を要する。その影響は計り知れない。

 「Warm Heart Cool Head」と言われるが、心は暖かく、一方で冷静にいる必要がある。怒りの感情をコントロールすることで、自分も平穏になるし、見方も変わる、人のことが見えてくるし、人の話に耳を傾けるようになる。傾聴力や観察力が身につくのである。

 怒りは自分の未熟さを露呈することになり、得することは何もない。ぜひ怒らない技術を身につけて、部下から信頼され、いいチームをつくり、成果を残してほしい。


著者プロフィール

細川馨(ほそかわ かおる)

ビジネスコーチ株式会社代表取締役

外資系生命保険入社。支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年に当社を設立し、代表取締役に就任。コーチングを勤務先の保険会社に導入し、独自の営業システムを構築、業績を著しく伸ばす。業績を必ず伸ばす「コンサルティングコーチング」を独自のスタイルとし、現在大企業管理職への研修、企業のコーポレートコーチとして活躍。日経ビジネスアソシエ、日経ベンチャー、東商新聞連載。世界ビジネスコーチ協会資格検定委員会委員、CFP認定者、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師。「ビジネスマンの悩み相談室」は電子書籍でも配信中。「自分は頑張っていると主張する部下に悩む上司」「ぬるい部下に悩む上司」「若い人には横から目線で共感する」(各250円)



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