スポーツにおいて勝つことはとても大切である。ビジネスでも結果を残すこと、勝つことは必要である。しかし、それとともに、人間としてさらに成長していくことも大切ではないだろうか。
実は、先日ある組織で研修をした。優秀な人材が集まったその組織では、参加者が全員とても礼儀正しかった。内面も素晴らしい人が多かったが、外に出てくる行動からも素晴らしさがにじみ出ていた。立ってお礼を言う、大きな声であいさつする――当たり前ではあるが、人間として素晴らしいと感じた。行動によって礼儀を身に付け、外面から内面が変わる。そのように強く感じた。
わたしは常日頃「行動が変わるから思考が変わる」と考えている。思考を変えるためには、まずは行動をしてみる。あの人のようになりたいと思ったら、まずはその人と同じように行動してみろとよく言われる。最初はまねることからスタートし、そこからいろいろと変化が現れるはずである。礼儀を身に付けることで、人間的に成長する。勝つことは大切だが、ビジネスでも、スポーツでもバランスが欠かせない。
先日、PGA(The Professional Golfers'Association of Japan、日本ゴルフ協会)のA級コーチと会う機会があった。彼は以前ある社長から、ヘッドハンティングを考えている人がいるので、いっしょにゴルフをしてプレイを通して感じたことを知らせてほしいと言われたそうである。ゴルフには、その人間の本性が出る。スコアをごまかしたり、球の向きに細工を加えたりしようと思えば、簡単である。はたまた、勝ちたい一身で「口頭で変なことをいう」こともできる。ゴルフでは人の本性が分かり、18ホールで人間性があらわになるといわれる。タイガー・ウッズはプレイはすごかったが、人間として失格であった。果たしてこれから変わるだろうか。
勝利を味わった人はそれに酔いしれてしまう。しかし、1回勝つのはそれほど難しくはない。それを継続し続けることのほうがはるかに難しいのである。勝つことは大切だが、その前に人間としての金メダルを目指す、それを徹底的に叩き込むことが欠かせない。人間として組織として社会に対して何ができるかを徹底的に考え、金メダルを目指す。そう思っていれば、1回勝てば終わりではなく、普段どう振る舞えばいいのか、何をすればいいのかが見えてくるはずである。ぜひ実践してほしい。
細川馨(ほそかわ かおる)
ビジネスコーチ株式会社代表取締役
外資系生命保険入社。支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年に当社を設立し、代表取締役に就任。コーチングを勤務先の保険会社に導入し、独自の営業システムを構築、業績を著しく伸ばす。業績を必ず伸ばす「コンサルティングコーチング」を独自のスタイルとし、現在大企業管理職への研修、企業のコーポレートコーチとして活躍。日経ビジネスアソシエ、日経ベンチャー、東商新聞連載。世界ビジネスコーチ協会資格検定委員会委員、CFP認定者、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師。「ビジネスマンの悩み相談室」は電子書籍でも配信中。「自分は頑張っていると主張する部下に悩む上司」「ぬるい部下に悩む上司」「若い人には横から目線で共感する」(各250円)
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授