会社が、「手放したくない」と思う人が、持つフォロワーシップとはビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

» 2020年03月26日 07時19分 公開
[伊庭正康ITmedia]
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 横軸は、「自らが率先する力(協働する力)」です。

 言うだけでなく、問題があるなら、役割を超えて、率先して行動するチカラです。これが低い人は、言うだけの人、もしくは言われるまでやらない人、というわけです。

 職場に問題を感じる、今のままでは「職場の計画」が未達成になりそうな時、上司や誰かが対策を考えてくれる、と受け身になるのではなく、自分なりに考え、上司と会話をしてみる、それだけでも、「会社が手放したくない」、そんな人物になれるはずです。

会社との関係性を整える(「ジョイン」する、というフラットな感覚)

 でも、こう思う人もいるのではないでしょうか。そんなことを言える立場ではないし、生意気な奴だと思われないだろうか、と。実際、ある大手メーカーの人からこんな話を聞きました。

 「上司に嫌われたら、10年は出世できない」そうなると、とてもじゃないけどフォロワーシップを発揮することは難しくなります。余計なことをしない道を選ぶのが正解になってしまうからです。

 でも、厳しいことばになるかもしれませんが、ご容赦ください。ある大手企業役員の本音を聞いたことがあります。

 「いい人は、どうでもいい人」。つまり、Aさんでも、Bさんでも組織への影響がないなら、人件費の安い人にお願いした方が、筋としては正しい、それがこの役員の言葉でした。(怖い話ですが、リストラ対象にもなりかねない、ということを示唆しています)

 背筋がゾっとしましたが、冷静に考えると、確かにそうだろうな、と納得せざるを得ませんでした。

 もし、サバイバルの時代、「手放したくない人物」と思われたいなら、マインドから変えることをお勧めします。「上司に嫌われたら生きていけない」のパラダイムを疑うことです。

 最近、転職のあいさつ、またSNSでの転職の報告に「ジョインする」という言葉が飛び交っています。まさに、これが時代の空気であり、その会社の“やっていること”が面白いので、その会社に所属するというより、ジョインする、という考え方です。

 2003年の古い本ですが、「フリーエージェント社会の到来(ダニエル・ピンク)」という本が一世を風靡した頃から、そんな発想が浸透してきました。内容は、これからの社会は、フリーエージェント(雇用されない生き方)の社会が到来するといった論調でしたが、面白いのはこの本で示唆しているマインドでした。

 会社を辞めずとも、フリーエージェント的に働く「フリーエージェント社員」といった選択もある、と説いていた点です。契約は社員契約ですが、マインド、ライフスタイルを「フリーエージェント」のように考えませんか、というものでした。

まさに、会社から自律した考え方ともいえるでしょう。

 いかがでしょう。職場によっては、上司にものを言うのはためらわれる、といった雰囲気もあることでしょう。実際、上意下達なので、上司に対してものを言うのは難しいといった声もありますし、なかには、「ウチの上司は考えが古いから」「上司自身のヤル気が低いので」といった声も聞きます。

 でも、そこが、あなたの見せ場だと考えてください。確かに、あなたの上司はダメかもしれません。職場は、まだ上意下達かもしれません。でも、あなたが問題だと思うなら、きっとあなたの上司の上司も、または経営者も、変えたいと思っているはずです。

 今回は、拙著『トップ3%の人は、「これ」を必ずやっている』で紹介し、私の会社でも人気研修となっている、注目が集まる「フォロワーシップ」のポイントを整理しました。スマートに自分らしさを貫き、それでいて会社にとってなくてはならない存在になる、そんな人材になるための一助になればうれしいです。

著者プロフィール:伊庭正康

らしさラボ 代表取締役(セールス・リーダー育成トレーナー)。

1991年リクルートグループ入社。営業としては致命的となる人見知りを4万件を超える訪問活動を通じ克服。リクルート社において、プレイヤー部門とマネージャー部門の両部門で年間全国トップ表彰4回を受賞、累計表彰回数は40 回以上。その後、営業部長、フロムエーキャリアの代表取締役を歴任。

2011年らしさラボを設立。リーディングカンパニーを中心に年間250回のリーダー研修、営業研修、コーチング、講演を行っている。リピート率は9割を超える。

著書は、『トップ3%の人は、「これ」を必ずやっている』『できるリーダーは、「これ」しかやらない メンバーが自ら動き出す「任せ方」のコツ(PHP研究所)』『強いチームをつくる!リーダーの心得(明日香出版社)』『残業ゼロだからこそ目標達成!!本気でやるチーム時短術(明日香出版社)』など多数。その活動は、日本経済新聞、日経ビジネス、など多数のメディアでも紹介される。


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