妖怪たちが大集合、「水木しげるの妖怪 百鬼夜行展」六本木で開催中タイムアウト東京のオススメ

東京の街の“ローカルエキスパート”が、仕事の合間に一息つけるスポットやイベントを紹介します。

» 2022年08月02日 07時09分 公開

 老若男女問わず幅広い世代に愛される漫画家、水木しげる。その生誕100周年を記念した展覧会「水木しげるの妖怪 百鬼夜行展〜お化けたちはこうして生まれた〜」が、2022年7月8日から六本木ヒルズ森タワー52階の東京シティビューで開催中です。

Photo: Kisa Toyoshima

 「ゲゲゲの鬼太郎」に登場する妖怪はもちろん、さまざまな妖怪たちが勢揃い。おどろおどろしくもどこかキュートな彼らを、水木はどのように生み出したのでしょうか。

Photo: Kisa Toyoshima

 エントランスを抜けると広がるのは、「砂かけ婆」や「河童」「キジムナー」といった妖怪たちの名前が書かれたちょうちん。そして、水木の出身地・鳥取県境港市にあるものと同じ妖怪のブロンズ像たちです。最初のエリア「天空の水木しげるロード」では、日が暮れるとともにちょうちんの明かりがともり、荘厳な雰囲気が立ち込めます。

 このエリアでは、XR観光体験アプリ「ストリートミュージアム」から「AR」(拡張現実)カメラを起動すると、巨大などくろの妖怪「がしゃどくろ」が出現するしかけもあります。会場内には妖怪が5体隠れているので、ARカメラであちこちを写しながら妖怪を探してみましょう。

 フォトジェニックなエリアはエントランスだけではありません。窓の外に広がる絶景と妖怪たちを眺めながら先へ進むと、最初に出迎えてくれるのは、ゲゲゲの鬼太郎にも登場する人気の妖怪「塗壁」のオブジェ。その大きさにも驚きますが、じっと眺めていると時折まばたきをするギミックにも注目です。

Photo: Kisa Toyoshima

 ほかにも、展示会場内にはさまざまな妖怪を忠実に再現したオブジェが随所に配置されているので、「実際に街中や森の中で出会ったら……」という想像を膨らませながら鑑賞しましょう。

 展覧会では水木の生い立ちから、幼少期に彼がお化けや怪異に興味を持つきっかけとなった「のんのんばあ」との出会い、そして水木が妖怪を描く上でアイデアの元となった古書の数々が紹介されています。中には彼自身が古書店街で購入した貴重な文献も。ページにメモ書きやけい線が引かれている資料もあり、水木が熟読した痕跡も確認できます。

 晩年までに1000点近くの妖怪を描いたという水木。ビジュアルの参考となったのは、先述した書籍の情報だけではなく、江戸時代の浮世絵からアフリカの工芸品までさまざまです。浮世絵で描かれている妖怪を忠実に模写した妖怪を見ると、彼がただの漫画家ではなく、古くから伝わる「妖怪画」を現代によみがえらせる役割を担っていたことがうかがえます。

Photo: Kisa Toyoshima

 終盤では、コロナ禍で一躍有名になった疫病封じの妖怪「アマビエ」をはじめ、水木が描いた数多くの妖怪画を一気に鑑賞できるエリアも。文字通りの「百鬼夜行」を堪能し、気付けば妖怪の魅力に取りつかれてしまうこと間違いなしでしょう。

 会場内では、展覧会限定のグッズを購入できる特設ショップも設置。禍々(まがまが)しいデザインのものから、妖怪のかわいらしさを押し出したグッズまで、さまざまなアイテムが用意されています。

「小豆洗いのたらいショートケーキ」(1350円、全て税込み)

 さらに会場隣では、コラボレーションカフェ「妖怪の森Cafe」も期間限定でオープン。「小豆洗いのたらいショートケーキ」(1350円、全て税込み)や「深大寺のすき焼きパーティー定食」(1600円)、「キジムナーのマンゴーかき氷」(1380円)など、来場者が展覧会でも遭遇したであろう妖怪たちをモチーフにしたフードやドリンクを楽しめます。

 妖怪は人間の空想によって生み出された存在。しかし水木がたどった膨大な資料、そしてそれによって生み出された精巧な妖怪画の数々と対峙(たいじ)するうちに「本当は実在したのではないか」と思えてくるでしょう。

 現代に蘇った「百鬼夜行」の世界に触れ、ヒヤッと背筋の凍る思いを体験しながら暑さを乗り切るのも乙である。ぜひ、日が落ちてから訪れてみてください。

 また、『妖怪たちが大集合、「水木しげるの妖怪 百鬼夜行展」六本木で開催中』では、展示についてさらに詳しく紹介しています。ぜひ、チェックしてください。

(c)水木プロダクション

著者プロフィール:タイムアウト東京 編集部

タイムアウト東京は、ロンドンを中心に、ニューヨーク、上海、クアラルンプール、テルアビブ、アムステルダム、シドニーなど、世界108都市39カ国に広がるメディア、タイムアウトの東京版です。「本当に素晴らしいものは、世界のどこであれ誰であれ感動を与えてくれる」という考えの下、日本の優れたヒト、モノ、コト、コンテンツ、サービスを英語・日本語のバイリンガルで発信しています。


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