連載
» 2011年03月23日 07時00分 公開

海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点:シンプルに結果を出すためのエグゼクティブ・コーチング (3/3)

[エグゼクティブブックサマリー,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

測定基準を設定する

 組織にいるリーダーは、車やスープの缶詰のような製造された「製品」ではありません。エンジンのようにリーダーの馬力を正確に計測することは出来ませんし、スープのレシピのように材料を量ることも出来ません。しかし、信頼できる測定基準を設定する事は、コーチング・プログラムの成果を評価する上で役立ちます。

 コーチングが始まって1月経ったら、上級管理職者にアンケートを実施し、コーチについてどう思うか尋ねて下さい。その後、彼らの上司に彼らの進捗について質問するか、360度評価を使って特定の成長分野を評価して下さい。トレーニングの終わりでは、上級管理職にコーチングについて再評価してもらい、目標が達成された項目を明確にして下さい。

 エグゼクティブ・コーチングの場合、ROIを正確に計算する事は困難な事です。実際、多くの企業がROIを計算しようとはしていません。もし企業にとってROIが重要であるならば、客観性を確実に保つために、外部のコンサルタントを雇い評価を行ってもらって下さい。または、社内の産業心理学者や組織心理学者など、社内の人に計算してもらうことも可能です。

 コーチングに対してここでは選定基準を設定すると言及しており、その方法が記載されていますが、日本ではまだこの域ではありません。実績主義のアメリカならではといったところですが、こういったサービスを企業として導入する以上、コストペイや成果を数値化するという考え方は必然ではないでしょうか。

適切なコーチを選ぶことの重要性

 エグゼクティブ・コーチング・プログラムは、採用するコーチによって良くも悪くもなります。欧米諸国では資格を持ったコーチを簡単に見つけることができます。しかし、特にインド、中国、日本など東アジアにある企業にとっては、それほど簡単なことではありません。自分の企業文化に適合し、クライアントと強固な関係を築く事のできるコーチの候補者を探して下さい。常に適した職務経歴を持った人物を採用することが大切です。自社と同じ業界で経験がある人物がいれば、素晴らしい候補者となります。また、多くの企業は、組織心理学や臨床心理学で上級学位を取得した人や、リーダーシップ開発や人事部で上級の役職に就いていた人も求めています。コーチング認定プログラムは標準化されていないため、多くの企業がコーチング認定証の有無は重要視していません。

 日本においても確かに最近はコーチングの必要性が問われるようになってきました。今や企業にとって、メンタルヘルスが重要な課題であるように、今後はエグゼクティブ・コーチングのニーズが、更に加速するのではないでしょうか。これは、何といっても企業は人で成り立っているのですから、ある意味、当然といえば当然なことかもしれません。

コーチングを受けた後の生活

 コーチング・プログラムが終わった後も、上級管理職とコーチは連絡を取ることが多いものです。実際、正式なコーチングの後、長期間連絡を取り続ける人もいます。コーチはコーチングの後の様子を確認するために連絡を取り、また、上級管理職はコーチからアドバイスをもらうために連絡を取る場合があります。こういった、通常は電話で行われるやりとりにさらなるコーチング料が発生する事は通常ありません。

 上級管理職とコーチの間の人間関係が深まることは問題ありませんが、依存することは問題です。依存関係はコーチングの最中に生まれることがあり、特に2年以上プログラムが続くと生まれやすくなります。上級管理職の成長の進捗が遅れていたり、意志決定の際コーチに頼り切る傾向があったりすると、危険信号です。こういった問題の芽を早いうちに摘み取るのもコーチの責務です。 エグゼクティブ・コーチングを利用した組織の約98%が、今後も今と同じ程度、あるいはそれ以上にコーチングの利用を続ける計画を立てています。これは、エグゼクティブ・コーチングの効果を裏付ける大きな証です。人気が高まっている中、エグゼクティブ・コーチングが従来の社内外の教育に取って代わり続けることはほとんど確実です。この1対1で行うリーダーシップ育成プログラムのメリットを否定する事は誰にも出来ません。

 コーチングとは、管理職が管理職として一人立ちできるようなサポートをすることが目的であり、あくまでそれはビジネス上の付き合いです。社内でのさまざまなことの意思決定を管理職がしっかりできてこそ、コーチングの真価が発揮されているということす。コーチは管理職の師匠でも上司でもないということを管理職者が理解しておくことが前提です。コーチングは人材の育成プログラムであり、依存するべき存在ではないということを理解した上で、こういったサービスを活用することがコーチングの成果を最高に高められる導入法ではないでしょうか。

この本の詳細

ブライアンO・アンダーヒルはリーダーシップ・コーチング企業の創始者です。キムシー・マカナリーは経営コンサルタントであり、管理職を指導するコーチです。ジョンJ・コリアスは経営者指導およびコンサルティングを提供する企業の社長兼CEO です。同社ではワークショップや特注プログラムを提供しています。

  • ページ数 189ページ
  • 出版社および発売日 Berrett-Koehler(2007年12月初版)
  • 言語 英語
  • amazonへのリンクはこちらです。

プロフィール:鬼塚俊宏ストラテジィエレメント社長

鬼塚俊宏氏

経営コンサルタント(ビジネスモデルコンサルタント・セールスコピーライター)。経営コンサルタントとして、上場企業から個人プロフェッショナルまで、420社以上(1400案件以上)の企業経営を支援。特に集客モデルの構築とビジネスモデルプロデュースを得意とする。またセールスコピーライターという肩書も持ち、そのライティングスキルを生かしたマーケティング施策は、多くの企業を「高収益企業」へと変貌させてきた。


前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

アドバイザリーボード

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆