皆が納得する、職場での衝突を解決するための8段階のアプローチとは海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点(3/3 ページ)

» 2011年05月25日 07時00分 公開
[エグゼクティブブックサマリー,ITmedia]
エグゼクティブブックサマリー
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管理職者が衝突を引き起こすことも、さらに煽ることもある

 気分屋の上司を持つと、その部下たちは上司の変わりやすい気分がどのように自分達に降りかかって来るのか心配しなければならないため、イライラしてしまいます。また、部下に関するうわさ話をしたり、性質の悪いジョークを言ったりする上司は協同作業を妨害し、生産性を低下させてしまいます。

 さらに、何をするにも上司の許可を得るよう部下に命令する上司は創造力を妨げてしまいますし、権限の委任が出来なければ部下のイニシアチブを促進する事は出来ません。

 あなたがもし、管理者ならば、当然、こういった上司にはならないように注意していると思いますが、部下は上司を選ぶことはできません。ですから、こういったタイプが上司であると分かったら、自分のスタンスを絶対に崩さないことです。影響されてはいけません。

 自らが胸を張って仕事をすることで、一目置かれる存在を目指すべきです。

衝突を解決するための8つのステップ

 衝突を解決するための「ワーキング・サークル」メソッドを使うことで、管理職者は建設的に衝突に対応することが出来るようになります。このメソッドは8つの質問によって構成されています。必要に応じて何度も取り入れて下さい。

 問題が起こってしまった時に、手順があると、あわてずに対処することが可能です。そういった意味で、この「ワーキング・サークル」は非常に良くできたステップリストだと言えます。

衝突を解決する8つの質問

1、どのような状況か?

 心のカメラで衝突の全体図を捉え、明確に、感情に流されることなくそれを精査して下さい。衝突はいつ始まったのでしょう? 誰がそれに関わり、誰が影響を受けていますか? 衝突の結果、誰が助かり、誰が傷つくのでしょう? 何が原因で衝突は大きくなったのでしょう? 期日までにやらなければならないものはありませんか? 誰が結論を決める手助けをするべきですか?

2、交渉の余地があるものは?

 必要であれば妥協出来ますか?

3、交渉の余地がないものは?

 他の従業員、タイムフレーム、証拠書類、リソース、業務、コミュニケーションの観点から、今の状況では妥協できないものは何ですか?

4、過去の経験から何を学んだか?

 過去をよく思い返して下さい。もし過去に似たような状況に見舞われたことがあるのなら、それがどのように終わったのか見直して下さい。過去の失敗から、今のための有意義な教訓を得ることがでます。

5、今の状況についてどう思うか?

 衝突に関わっている人間についてどう感じますか? 計画を立て、実行させる能力はありますか? 十分なデータはありますか? 結果から利益を得ることはできますか?

6、作戦は?

 これまでに集めた情報を活用し、行動計画を考えて下さい。しかし、まだ実行に移さないでください。実行に移す前にもう2つの質問に答える必要があります。

7、作戦を実行することでどのような変化をもたらすことが出来るか?

 作戦を実行する事で得られる結果は、あなたやあなたと衝突に関わった人との関係性にどのような影響を与えるでしょう?また、どのように自尊心を高め、未来の衝突に対処する能力に変化を与えることができるのでしょう?

8、最終的に、上記のような変化は前向きなものになるか?

 これまでに答えた質問を踏まえ、この質問には素早く答えられなければなりません。

 この「ワーキング・サークル」で大切なのは、戦略を立てて考えるということです。最終的な着地点はいったいどこなのか? そのためにはどういった戦略を立てる必要があるのか? このステップリストの適切な質問は、そういった答えを簡単に導き出してくれます。

この本の詳細

ダイアンL・カッツは、コンサルタント会社であるThe Working Circle社の代表です。コロンビア大学で修士号を、ユニオン研究所で問題解決学の博士号を取得しています。

  • ページ数 237ページ
  • 出版社および発売日 Wiley(2010年6月初版)
  • 言語 英語
  • amazonへのリンクはこちらです。

プロフィール:鬼塚俊宏ストラテジィエレメント社長

鬼塚俊宏氏

経営コンサルタント(ビジネスモデルコンサルタント・セールスコピーライター)。経営コンサルタントとして、上場企業から個人プロフェッショナルまで、420社以上(1400案件以上)の企業経営を支援。特に集客モデルの構築とビジネスモデルプロデュースを得意とする。またセールスコピーライターという肩書も持ち、そのライティングスキルを生かしたマーケティング施策は、多くの企業を「高収益企業」へと変貌させてきた。


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