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» 2011年11月16日 08時00分 公開

海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点:儲けたいなら2番手になれ (3/3)

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開拓する企業と強化する企業

 新しい市場に参入する企業には2種類あります。それは、市場を開拓する企業と強化する企業です。この2つの特性は大きく異なるため、この両方を1つの企業が持つのは難しいことです。開拓する企業は変化に動じず、新しいことを試みたいと思っています(よく失敗しますが)。そして、自分達の大切なイノベーションを促すコア・テクノロジーに情熱を持っています。こういった企業は1番目になるかトップに立ちたいと思っており、お金や消費者を重視しません。

 その反対に、強化する企業は支配的設計を確立するか、それを足場にします。開拓者よりも動きは遅く、それほど柔軟性はありません。市場の現実に意識を向け、消費者の声を聞き、自社の製品の価値を市場全体に納得させることができます。開拓する企業が最高の製品を作りたいと思う一方で、強化する企業は、誰でも買うことができる程度に安く、十分な品質の製品を作りたいと思っています。

 このように、開拓する企業と強化する企業は、その機能以上に文化が異なるのです。開拓する企業は小さくて敏捷性があり、次から次へと躍進的な発明が生み出せる組織でいたいと思っています。それと同時に、平らな組織構造を好み、財政を硬直させることなく新しいアイディアを生み出すことに力を注ぎます。さらに、強化する企業は、すでに知られている成功を再現することに最も力を発揮します。そして、明確な階級制を好み、プロセスとコストを厳しく管理します。

 開拓と強化の両方を行おうとすれば、組織は行き詰まり、ジレンマに陥ります。どちらにも進めなくなってしまいます。しかし、他に選択肢があります。もし自分の会社が大手である場合、「急進的文化の変化」を引き起こし、開拓する企業の考え方を取り入れることができます。繋がっているけれど自主性のあるユニットを分離独立させ、新しい市場を開拓することができます。

 また、もし自分の企業が強化する大手企業であり、急進的イノベーションを生み出す可能性は無いと分かっていたら、その機能を外部委託することができます。2003年、プロクター・アンド・ギャンブル社は自社のイノベーションの半分を外部から取り入れることを宣言しました。

 企業内で急進的な新しいイノベーションを生み出そうとするのではなく、目標を明確にし、新しいアイディアを持った小規模でも精力的で創造力に富んだ企業と手を組んで下さい。市場の開拓と強化にはそれぞれ異なる戦略が必要ですが、この問題には労働力を分けることで対処できます。プロセスの各部の組織としての必要性を認識し、新しいテクノロジーが確立された製品ラインを混乱させてしまうことから開拓と強化は相容れない可能性があることを理解して下さい。その2つがどのように関連しているのか注意することで、どこでどのようにその2つが衝突するか明確にし、相互作用を最適に管理する方法を決めることができます。

 開拓する企業は、新製品のさまざまなバージョンをテストする時、その「技術的特性」に注目します。その製品が持つ機能に興奮します。また、新製品を改良する時は、本当にその製品の性能を向上させます。しかし、消費者のニーズや市場価格に合わない製品をつくってしまうというリスクを冒すこともあります。市場強化の段階に移行するには、消費者のニーズの平均を明確にし、より低価格でそのニーズに応えるようにして下さい。

 新しい設計がより多くの人に受け入れられるようになることで、相乗効果が生まれます。これによってある種の規模の経済が始まります。しかし、規模の経済が本当に作用し始めるのは、自社の設計が支配的になってからです。よって、企業の新しい目標は設計を支配的にすることです。

 ただし、自分達の手で直接これを達成する必要はありません。競合社と合併し、新しい企業の最高の設計に力を注ぐこともできます。また、信頼性のある設計をすることで、顧客のリスクを減らして下さい。見込み客を、未知のものに手を出さないよう教育することも大切です。そして、新しい製品を流通システムに載せ、それを欲しいと思っている顧客が買えるようにして下さい。また、自分の会社が成功することで副次的市場が生まれます(例えば、自動車にとってのガソリンスタンド)。そして、その市場を助けたいと思うでしょう。

 市場を開拓する企業と強化する企業……その2つに分類されるというのはよくよく考えれば当然のことですが、意外と気が付かないものです。つまりこれは、ある市場が生まれた時、それを育てさらに広げるための2次的な市場が生まれるという理解ができると思います。例えばある製品が生まれるとすると、そのオプション品を扱うサードパーティが必ず出ます。意外とそれらサードパーティの方が利益を生み出している事が多いというのもひとつの事例になるのではないでしょうか。

著者紹介

コンスタンチノスC・マルキデスは、ロンドン・ビジネス・スクールの戦略的リーダーシップを教える教授です。著書に「All the Right Moves,」などがあります。ポールA・ジェロスキーは、同スクールの元教授です。英国の競争委員会会長を務めています


プロフィール:鬼塚俊宏ストラテジィエレメント社長

鬼塚俊宏氏

経営コンサルタント(ビジネスモデルコンサルタント・セールスコピーライター)。経営コンサルタントとして、上場企業から個人プロフェッショナルまで、420社以上(1400案件以上)の企業経営を支援。特に集客モデルの構築とビジネスモデルプロデュースを得意とする。またセールスコピーライターという肩書も持ち、そのライティングスキルを生かしたマーケティング施策は、多くの企業を「高収益企業」へと変貌させてきた。


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