中間管理職の真実海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点(3/3 ページ)

» 2011年11月30日 08時00分 公開
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出世階段を上る

 人は多くの場合、中間管理者のことを、激しい競争を繰り広げながら出世階段を上り、より優秀な少数の人で構成された次の階層を目指している人だと思い描いています。しかし、その中にはいくつか誤りがあります。第1に、出世階段の階層の数は、企業のディレイアリングによって減りました。残された数少ない階層にはピアマネジメント(同僚や仲間を監督・管理すること)のポジションがあるにも関わらず、上昇志向は昔よりも抑制されています。また、管理職の空きが発生すると、今日の企業は社内の人間を昇進させるのと同じだけ、外部から必要な能力を持った人間を雇う傾向にあります。つまり、忠誠心を持って一生懸命働いているからといって、出世を期待することはできないのです。

 よって、今よりも責任と影響力の大きいポジションに就いたら、会社にさらなる成功と利益をもたらすことができることを示さなければなりません。厳しい国際競争の中では、企業は在籍期間だけに基づいて従業員を昇進させたり、会社のデスクにただ座って今までの年月を過ごして来ただけの従業員を雇い続けたりすることはできないのです。

 第2に、今、競争は苛烈であるにも関わらず、企業は中間管理職の経歴には、複数の会社での経験が含まれることを望んでいます。キャリアの中で複数の会社を移動して来た候補者を嫌がる採用担当者はもういません。実際、1つの会社から離れなかった人は、臆病者だと思われる恐れがあります。本当の競争は、急いでスキルを身に付け、素晴らしいプロジェクトで履歴書を埋め、仕事のコネとソーシャルネットワーキングでの繋がりを蓄積することです。

 また、できる限り沢山の業界の有力者と会う必要があります。あらゆる重役が、信頼できてクリエイティブな中間管理者に頼っているため、その有力者の中の1人が上に向かう足がかりになってくれるかもしれないからです。もちろん、中間管理者の中には上の地位を狙っても、キャリアが頭打ちになってしまう人もいます。そういった人達は、情熱でも、さらには満足感のためでもなく、他の仕事よりましだからという理由で今の仕事に留まるのです。

 第3に、中間管理職に就く人の全てが出世を望んではいるわけではありません。自分のライフスタイルに合っているからという理由で、今の仕事に満足している中間管理者は沢山います。現代の通念に反し、仕事に飲みこまれた人生を生きる事から、多くの人々が望んでいる意味を見出すことはできないのです。彼らは家族を養い、ある一定の快適さを得るお金のために仕事をしているのであって、仕事や業務、会社のために生きているのではありません。もしあなたが中間管理者で、その地位にいることに満足しているのなら、その満足感を享受し、自分ではそんなつもりは全くないかもしれませんが、日々提供している重要な貢献に誇りを持って下さい。

 中間管理職に対するイメージの大きな間違いがここでは指摘されています! これはある意味高度成長期を生き抜き、ひとつの企業の生え抜きといわれている人たちには大きなジレンマかもしれません。

 しかし、どんな立場にせよ、自分の現在おかれている仕事にプライドを持って対応することがベストな選択だと思います。

著者紹介

ポール・オスターマンは、MITスローン経営学大学院で人材育成とマネジメントを教えています。International Labor Review誌の共同編集者を務めており、数多くの被雇用者関連委員会の会員を務めて来ました。数多くの講演を行っており、9冊の著書があります


プロフィール:鬼塚俊宏ストラテジィエレメント社長

鬼塚俊宏氏

経営コンサルタント(ビジネスモデルコンサルタント・セールスコピーライター)。経営コンサルタントとして、上場企業から個人プロフェッショナルまで、420社以上(1400案件以上)の企業経営を支援。特に集客モデルの構築とビジネスモデルプロデュースを得意とする。またセールスコピーライターという肩書も持ち、そのライティングスキルを生かしたマーケティング施策は、多くの企業を「高収益企業」へと変貌させてきた。


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