現代のリーダーに何より求められるものは「自立」した部下を一人でも多く育てることであると考えます。つまりは自分自身で人生の、仕事の目標を定義し、己の考えで動き、幾度の困難を乗越えて道を切り開いていく、そんな時代の変化に決して負けることの無い強いビジネスパーソンを作り上げることです。
もし、それをすることもなく、会社組織から伝えられた指示をただ伝達するだけの「管理者」であれば、それはリーダーとしては単純に怠慢なことだと考えます。
ところが、それこそが一番難しい責務であることはどのリーダーも分かっているでしょう。自分の保身ばかり考えている管理職が「失敗を恐れず、自分で考えどんどんチャレンジしろ!」と言ったところで、部下は綺麗ごとにしか聞こえないはずです。
つまりは、部下の心に真に響くメッセージを自分の言葉で伝えきることができるか、それこそが真のリーダーの価値なのだと思います。そしてそれはまさに当人の「生き様」が問われているような気がしてなりません。わたしは本書で登場するエンドゥのように、力強い真の指導者であるのかどうか、本書を執筆するという経験を通じ自問自答する日々です。
そう、この本に一貫して流れるメッセージは「自立」です。自立というのは他人を頼るなとか孤独になれとか、決してそういうことではない。自分の目指すべき道を自分の意志で決め、自分自身で歩んでいきなさいということです。仕事に限らず、人生は一度きりなのですから。
でも、本当の意味で自分らしい生き方というのは戦い抜かないことには手に入らないのだ。そんな競争社会の原則のようなものを、わたしが実際に体験した芸能界という世界を通じて、この本で皆さんにお伝えできたのであれば非常に嬉しく思います。
今回の執筆は読書離れが進んでいる就活生や新入社員に読んでもらいたいという想いから、非常に軽いタッチで書きあげました。この辺りは売れないタレント時代、喜劇脚本を書いていた経験が生きた気がします。何でも無駄にはならないものです。
ところが、本書の出版後、意外なことに40代や50代の読者から「思い当たるところがあまりに多く、グサグサきた」という感想を多く頂きました。それはきっと、ビジネスとは突き詰めていけばいくほど非常にシンプルなものであるということに、社会経験を長く積んだ人ほど気付いているからではないでしょうか。本書のタイトルは「社会人として大切なこと」となっておりますが、実質的には「社会人として(生き抜くために)大切なこと」なのかもしれません。
芸能界を舞台にした自己啓発書という極めて類を見ない作品となりました。わたしにとって今回の著書は処女作となるわけですが、すでに「続編が読みたい」という読者の方々からのリクエストを多く頂いています。その点も本書が「幼い若者が大人に揉まれながら真の自立をしていくストーリー」を中心に構成されている、異質なビジネス書であることを物語っている気がしてなりません。
情報過多の時代となりましたが、生き抜く上で本当に大事にすべき答えはいつでも自分の内にある。それを追求し続けていくこと、それが「自立」なのだと思います。そして、それこそが現代において一番大事にすべきことではないでしょうか。
1975年、東京生まれ。高校2年生の在学中から芸能界での活動を開始。その後、10年間にわたり、ドラマやバラエティ番組などテレビ関連の仕事を中心に、舞台、CMを含め100近くの現場を経験。26歳のときにIT業界の技術職へ未経験の状態で転身後、32歳で部長へ昇進し、大型プロジェクトを歴任。現在も技術部長職として最前線で活躍中。2012年6月「タレントだった僕が芸能界で教わった社会人として大切なこと(こう書房)」出版。新聞に取り上げられるなど注目を浴びる。執筆以外でも学校や企業での講演活動などを通じ、自分らしく生きることの大切さを伝えている。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授