出入り禁止になると、金額的には「年間いくらの売上げを損失した」と言います。これは単年度の損失ではありません。
本来は10年、20年、30年後までずっとあった取引、またはどんどん大きくなる可能性があった取引なのに、自分がそこでゼロにしてしまったのです。
例えば、サービス業で1人のお客さまを怒らせて失いました。「しょせん1人じゃないですか。お客さまは何人もいるし」と言う部下に、上司が「バカを言うな。その1人のお客さまがどれだけのお客さまを連れてきてくれると思うんだ」と怒りました。
自分が与えた損害を「たった1人のお客さま」と考えるか、「そのお客さまから広がる無限の利益を今失った」と考えるかで、一流になれるかどうかが分かれます。
「どうせ来なくなったのは1人のお客さまでしょう」と考えるのは、サービス業でよく起こりがちなことです。1人のお客さまが多くのお客さまを連れてきてくれるというのがリピートビジネスです。1人のお客さまを失うと、自分が生涯働いても返せないぐらいの損害を与えるということに、二流の人は気づきません。
「1人失ったら、また1人増やせばいいじゃないですか」と言います。そんな簡単なことではありません。1人のお客さまを増やすコストは、莫大な労力とお金がかかります。1人のお客さまを失うということは、ただ1人の売上げを失うだけではありません。
新しく1人のお客さまをつくり出すエネルギーも損失するのです。まず、どれだけ大きなダメージを与えたかを認識するところから、リカバーが始まるのです。
作家
1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。博報堂勤務を経て、独立。91年、株式会社中谷彰宏事務所を設立。
【中谷塾】を主宰。全国で、セミナー、ワークショップ活動を行う。【中谷塾】の講師は、中谷彰宏本人。参加者に直接、語りかけ質問し、気づきを促す、全員参加の体験型講義。
著作は、『一流の仕事の習慣』(KKベストセラーズ)など、970冊。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授