初対面の時、まずは心の扉を開いてもらわねばなりません。多くの営業マンは、さしあたり天気の話をしますが、相手の警戒心を説くには足りません。警戒心を解くには、「褒めどころを褒める」のが一番。
「褒めどころ」とは、相手にとって大切にしている「こと」や「もの」、もしくは「考え」。
例えば、「しっぽが、かわいいワンちゃんですね。なかなか、いませんよ」と言われて、「うるせえ」と思う飼い主はいないでしょう。商談の冒頭で「褒めどころ」を褒めると、警戒心が一瞬にして解けます。
こんな感じ。
「ありがとうございます。お会いできて嬉しいです。受付のご対応に感動しました。いろいろな会社に伺いますが、なかなかないです。」お客さまは、こう思うことでしょう。「えっ、そうかな?」と。警戒心が、解けた瞬間です。
もちろん、心にも無いことを言う必要はありません。お世辞はスグに分かります。些細なことにも「関心」を持つことはできます。関心を持つのは、才能ではなく、行動。必ずできます。
一流は、「なかなか、ない」と関心を示す
「別に、今はいいかな」なかなかお客さまの本心を聞き出せない時があります。とっておきの方法を紹介します。それが、「点数」で聞く方法です。嫌味なくグッと踏み込んだヒアリングができます。
「今のお車でお困りのことはございますか?」
「う〜ん……今は大丈夫かな。特にトラブルもないしね……」
「それは、すてきですね。1つだけ、お伺いしてもよろしいでしょうか?
もし、今のお車に点数を10点満点でつけるとしたら何点でしょうか?」
「そうだね……。え〜、8点かな」
「あと2点は、どんなことがあれば良いとお考えですか?」
「そうだね〜……。燃費かな。リッター7キロなんだよね」
「と、おっしゃいますと」
「来月に生まれるの。子供が。お金がかかるからさ。」
「それは、おめでとうございます!」
最初は「大丈夫」と答えていたお客さまでしたが、「燃費に不満を感じている」ことをキャッチすることができました。このように、「点数」で聞くだけで、隠れたニーズをあぶりだすことができるようになります。
一流は、「10点満点では?」とクイズにする
プレゼンとは「説得」をすることではなく、「納得」を得るための行為。ここを忘れてはなりません。とっておきの提案法、それが「選択肢」を示す方法です。
A案は、リーズナブルな案。B案は、あなたがベストだと考える本命案。そして、次の流れで提案します。
「A案メリット」→「A案デメリット」→「B案デメリット」→「B案メリット」の順に伝えます。やってみましょう。
【例:リフォーム営業の場合】
1つは、「知人にお願いする」方法(A案)。もう1つは、「複数の専門業者の中から選ぶ」方法です(B案)。
「A案は知人の紹介なので安心できます。一方、複数から選べない点が残ります。B案は、確かに少し面倒です。しかし、複数から選べるので納得感を得られます。目的を考慮されると、どちらがお考えに近いですか。」
いかがでしょう。B案を選んでもらえるように感じませんか。このように選択肢を示すことで、納得できる決定をしてもらえます。
一流は、「選択肢」を示す
さて、まとめます。一流の営業マンが実践するひとつひとつのルールを紹介しました。私は、商品を売る前に、自分を売ることこそが大事だと考えます。冒頭でも言いましたが、ほとんどは「スキル」というより「知っているかどうか」だけのことも少なくありません。まだまだ、営業を面白くすることはできる、そう思っていただけたら本望です。
1969年京都生まれ。1991年リクルートグループ入社(求人情報事業)。営業職としては致命的な人見知りを4万件を超える訪問活動を通して克服。
その後は、リクルート社においてプレイヤー部門とマネージャー部門の両部門で年間全国トップ表彰4回を受賞、また累計表彰回数は40回以上の社内表彰を受け、営業部長、(株)フロムエーキャリアの代表取締役を歴任。リクルート流の「圧倒的な当事者意識」を持つ、組織作り、営業マン育成法を会得。
2011年、研修会社(株)らしさラボを設立。リクルートで学んだ「圧倒的な当事者意識」を持つことの大切さを説くべく、年間200回を超えるセッション(営業研修、営業リーダー研修、コーチング、講演)を行っている。リピート率は95%。
また、ストレスコーピングコーチとして、ビジネスパーソンのメンタルタフネス強化の支援も行っている。近著には、『絶対に残業しない人の時短(しごと)のワザ』『強いチームをつくる!リーダーの心得』など多数。その活動は、日本経済新聞、日経ビジネス、など多数のメディアでも紹介される。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授