DXを成し遂げる人材・組織のあり方視点(2/2 ページ)

» 2021年08月30日 07時03分 公開
Roland Berger
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 1、Transformative vision:企業が向かうべき方向、ビジョンを明確に理解し、導くことができる

 2、Change leader:周囲を説得し、モチベーションを高めながら改革を推進できる

 3、Change oriented:オープンマインドであり、迅速なトライ&エラーを経て学ぶことができる

 4、Technology&business literacy:テクノロジー・ビジネス双方を深く理解し、自社との橋渡しができる

 特に、4つ目について、自社の状況を深く理解しながら、テクノロジーと経営、ビジネスモデル及びオペレーションを結び付けて考えられる人材は非常に貴重である。常に先端のテクノロジーを理解していることが重要となるが、必ずしもリーダー自身がその実装ができる必要はない。知見を持つDXメンバーと共同してプロジェクトを主導できることが肝要だ。

 DX人材が機能できる組織はどうあるべきか。文化や風土形成、組織や権限、そしてマネジメントの仕組みを整備していく必要がある。

変革を志向する「文化・風土」の醸成

 何のためのDXなのか。トップが強くコミットした上で、全社が目指すビジョンやDXのゴールを発信し社内で共有することで、方向性のずれを防ぐ。

 また、DXは全社が対象の取り組みとなる中、社員一人一人が最適な判断をし、行動していくために、デジタル・リテラシー教育で知見の底上げ・意識改革を行っていくことが望ましい。

ヨコ串を指し、挑戦意志を具体化する「組織・権限」の設計

 組織・権限の設計について、DXを推進する「出島」を作るのか、IT部門や経営企画がリードするのかなど、体制パターンは複数考えられるが、いずれにしても以下の観点がポイントとなる。

 (1)全社的な観点と現場目線のバランス: DXは全社最適、部門横断で推進すべきであるが、現場のペインポイントや顧客、オペレーションを深く理解していなければならない。例えば出島を設けつつも、混合のタスクフォース組成などにより事業部門とのコミュニケーションを活性化するなど、全社的な観点と事業部の連携のバランスを取る工夫が有効である。

 (2)十分なリソース・権限を割り当てる: 経営者は長期的な観点で、十分な予算の配分やエース人材の投入を考慮していくべきである。特に外部のDX専門人材を活用する場合は、報酬や評価設計が既存の制度と合わないケースが多く、業界相場や商慣習に沿って基準を見直す必要がある。

DXの成功をナビゲートする「仕組み」の整備

 トライ&エラーのサイクルを迅速に回すためには、中長期の目標を定め、その達成度を管理するためのKPIを設定する。プロジェクトや事業単位のKPIのみならず、例えば「デジタルサービス売上が全社に占める割合」など、DX推進のための全社的な取り組みまでをKPIに落としこむことが有効だ。

 また、社内の技術・知見やデータを最大限活用できる仕組みの整備により、より効果的なDXにつなげることができる。

 以上、DXにあたっては、適切なDX人材の育成や確保、また、DX人材が機能するための組織の整備が欠かせない。ローランド・ベルガーはさまざまなDXプロジェクトの推進、また、人材・組織基盤の構築にかかる豊富なプロジェクト実績や知見を有している。

著者プロフィール

呉 昌志(Masashi Go)

ローランド・ベルガー プリンシパル

京都大学経営管理大学院修了。国内大手システムインテグレーターを経て現職。モビリティ/デジタル・IT分野を中心に、成長戦略、新規事業開発、海外市場参入戦略、BPRなど多様なコンサルティングサービスを展開。また、2016年より3年間、当社ソウルオフィスへのトランスファーを経験。


著者プロフィール

横山 浩実(Hiromi Yokoyama)

ローランド・ベルガー プリンシパル

東京大学大学院工学系研究科修了。米系会計系コンサルティングファーム、欧系ソフトウェア会社等を経て現職。内閣官房IT総合戦略室にてIT戦略調整官としても勤務。公共業界、IT分野を中心に、デジタル事業戦略、標準化を通じたコスト・ビジネスモデル刷新、業務プロセス改革及びシステム導入など多岐にわたるコンサルティングプロジェクトに従事。


著者プロフィール

石毛 陽子(Yoko Ishige)

ローランド・ベルガー シニアプロジェクトマネージャー

東京大学文学部卒業後、日系投資銀行を経てローランド・ベルガーに参画し、東京及びシンガポールにて日本企業のアジア展開を支援。人材系ITベンチャーの役員を経て再参画。DX、全社戦略、組織改革やM&Aなど、幅広いプロジェクトを手掛ける。


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