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» 2013年01月31日 08時00分 公開

ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術:トラブルを防ぐ! パート・アルバイト雇用の法律Q&A (2/2)

[小岩広宣,ITmedia]
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2、毎日2時間以上も残業をしている契約社員への対応方法

 非正規社員でも、長時間会社に残って残業するケースは少なくありません。特に専門職や営業職などの場合には、本人の裁量による残業を認めざるを得ないものです。日給制や時給制の契約社員であれば残業代はきちんと支払われるから、労務面のリスクは心配ないと思われがちですが、そんなことはありません。

 今では労災の認定基準が時間外労働にとても厳しく設定されていますから、1日数時間のレベルの残業をしている場合でも、いわゆる「過労死」のゾーンに到達してしまうことがあります。一定の休日出勤が発生している場合にも、同じことがいえます。うつ病や脳・心臓疾患などの疾病に襲われた場合は、労災認定されることはもとより、会社が高額な民事損害賠償を請求されることにもなります。

 残業を抑えるには会社の時間管理を徹底することが必要ですが、非正規社員の場合にはどうしても上司の目が行き届かなくなり、会社の管理があいまいになってしまいがちです。基本的には残業を許可制にした上で、「時間外勤務申請書」を提出してもらうようにします。正社員にはそうした管理を行っているのに契約社員は別というケースは、最も心配です。むしろ正社員以上に厳格な管理を心がけることが大切でしょう。

3、かつて在籍していた人を派遣社員として受け入れるには

 いったん会社を退職した人が、しばらくして派遣社員として同じ職場に戻ってくることがあります。あまりイメージしにくいかもしれませんが、結婚を機に退職した人が派遣社員として元の職場に復帰したり、親会社を辞めて子会社に移籍した人が親会社に派遣されるといったケースが典型的です。

 2012年の労働者派遣法の改正によって、こういった派遣社員の活用の仕方はできなくなりました。すなわち、離職後1年以内の人を派遣社員として受け入れることは、原則として禁止されるようになったのです。いくら職場の状況をよく知る人だったとしても、このルールに反して派遣社員として活用することはできません。

 ただし60歳以上の定年退職者は、このルールの例外です。このことから、実際に昨年の秋以降、定年退職者を派遣社員として有効活用する人材活用モデルを構築する会社も増えています。逆に、離職者を派遣社員として受け入れることで、新たな労務トラブルを招く例も少なくありません。やや複雑な制度だけに、正しい実務対応を取れるよう、社内の周知が大切になってきます。

 2012年は労働ビックバンの再来ともいわれ、労働契約法、労働者派遣法、高年齢者雇用安定法など、多くの雇用関係の法律の改正が相次ぎました。これらはいずれも非正規雇用の保護・規制強化を盛り込んだものです。改正法が施行され、さらなる改正を控える2013年以降、非正規雇用への新たなルールへの対応力が問われることになります。

 非正規社員の雇用管理が、重要なマネジメント能力の1つに挙げられる時代になりつつあることは、間違いありません。会社の組織風土や雇用慣行に照らして、正社員とは異なる雇用のルールを整え、より強い会社・組織を作っていただきたいものです。

著者プロフィール:小岩 広宣

特定社会保険労務士、社会保険労務士法人ナデック代表社員、株式会社ナデック代表取締役。1973年、三重県生まれ。派遣社員を経験することで自分を認めてくれる職場に出会った経験から、非正規社員を戦力とする仕組みづくりを目指して、社労士として独立。非正規社員を活用するサービス業や製造業の企業を中心に年間約100社の支援に取り組む。数人から数百人の非正規社員を抱える企業の労務管理に携わり、改正労働者派遣法や労働契約法への実務対応やコンプライアンス対策のために全国を奔走する。トヨタ自動車や各地の商工会議所などでもセミナー講師をつとめ、「朝日新聞」「中日新聞」「女性自身」「BIG tomorrow」などメディア実績多数。著書に、『派遣社員のためのリスク管理と上手な働き方』(同文館出版)、『人材派遣・職業紹介』(技術評論社)、『「非正規」雇用、ここが問題です!』(共著、実務教育出版)などがある。


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