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» 2015年08月27日 08時00分 公開

ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術:もしもあなたが新規事業の担当になってしまったら (2/2)

[石川明,ITmedia]
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MBAホルダーの落とし穴

 最近は、MBAを取得するなど、経営学の知識を十分に備えた社員を抱える企業も増えてきました。もちろん経営学を習得していることは新規事業開発を進める上でも大きな武器であるのは間違いありません。

 ですが、自身もMBAコースで教員を務めたりビジネススクールで研究員を務め多くのMBAホルダーと付き合っていると、経営学の知識を習得してきた人が陥りがちな罠のようなものがあるのを感じています。

 とかくMBAではケーススタディーによって経営戦略を学ぶことが多いです。ケースの数をこなし、色んなケースを知ることで、実際の場面に行かせそうなケースを頭の中にストックします。何か実際の問題に対峙した時は、ストックされたケースの中から何かを当てはめることができれば問題解決は効率的です。

 しかし、実際に事業を興すのはそんなに甘いものではありません。真摯に課題に向き合って、深く深く課題を掘り下げて、とことん考え尽くさねば、市場で実際に勝っていけるような事業は生み出せません。

 MBAで学んでいる時には、さまざまな領域・業種の事業を取り扱いますから、情報収集は主にWEBや書籍が効率的です。一つ一つ現場を見に行くようなことまではしません。

 しかしながら、本当にユーザーの心に刺さるような製品・サービスを生もうとすれば、現場に密着しユーザーと対峙するのは必須のことです。

事業とは「不」の解消、「国語・算数・理科・社会」で考える

 たいていの場合、「自社の経営課題」というところから検討をスタートさせてうまくいく新事業はありません。やはり事業は市場と対峙したところからしか生み出せません。そこで、経営学の知識に頼り過ぎる傾向がある人には、シンプルな起業のための思考法を紹介しています。

 事業とは、人が抱える「不」を解消することです。すなわち、ビジネスチャンスを探すとは、人がどんな「不」を抱えているかを探すことに他なりません。

 「不」を探す方法として、小学校で習った授業を思い出してみましょう。

 国語 =人の気持ちを察すること。誰がどんな「不」を抱えているのか

 算数 =その「不」は期待する事業規模に見合うくらい大きいか

 理科 =なぜ「不」は生じているのか

 社会 =「不」が解消されずに残っている社会的背景は?


 この順番で考えてみて、「不」の存在がしっかり確認でき、それが生じている理由や背景が分かれば、あとはその解消方法を考えるだけです。それが事業プランニングです。

 経営学ではさまざまな戦略や戦術の手法が紹介され難しく考えてしまいがちですが、私は実は事業開発とはとてもシンプルなものだと思っています。

企業内リーダーに求められる起業力

 企業は、世の中の役に立てることに存在理由があります。そのリーダーはまずピュアに「世の中にどうやって役に立てるか」という発想に立ち戻って考えらることが重要です。

 そして一方で組織の中をしたたかに進め、社内の通し方を知っている人、その両面を持ちあわせている人こそが、これから社内起業を進めていくリーダーになっていけるのだと考えます。

著者プロフィール:石川 明

新規事業インキュベータ

1988年リクルートに入社。2000年までの7年間新規事業開発室でマネージャを務め、ゼクシィやホットペッパーなどを生み出した社内起業提案制度の事務局を務める。

2000年 リクルート社からの社内起業で株式会社オールアバウトを創業。(2005年JASDAQ上場)

2010年独立し、石川明事務所を設立。ボトムアップによる社内起業に特化した支援を行う。

これまで携わってきた社内起業案件は、100社・1,500案件・3,000人を越える。

著作に『はじめての社内起業』(ユーキャン)がある。


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