核心文展開法では、上手に書こうとすると失敗する。まずは、書いてみることである。昔は原稿用紙に手書きしていたが、現在はワープロを使って原稿を書く。ワープロの文章は、簡単に直せるので、どんどん書いて直せばいい。私自身、最初に書いた時間より、直す時間の方が10倍かかる。直し方を覚えればよいのである。
文豪と呼ばれる人たちの原稿でも、原稿用紙には膨大な直しが入っている。書いてすぐオッケーという原稿はあり得ない。重要なのは、誰に、何を伝えるかである。特に「誰に」は重要で、誰にでも伝わるように書くと中身が薄まり、おもしろくなくなる。新聞が読みやすいがおもしろくないのはそのためである。
また導入部も重要になる。出だしの3行がおもしろくなければ、その文章は絶対におもしろくない。こう話すと構えてしまいそうだが、4つのパターンを覚えておけばよい。「最初に結論を書く」「最初に要約を書く」「会話文からはじめる」「シーンではじめる」という4つのパターンである。
ただし、シーンから書き始められるのは上級者である。初心者には、結論から書くことを進めている。まず結論を書いて、次にその理由を書くだけでも十分である。結果として起承転結になるのはよいが、はじめから起承転結にこだわる必要はない。相手に伝われば、自由に書いていい。伝える文章ではなく、伝わる文章であることが重要である。
またリズム感があり、読みやすいことも大事である。私自身もリズム感には強力にこだわっている。文章がベターっと並んでいると読む気がなくなる。そこで改行を入れるのだが、これがリズム感になる。また「かぎかっこ」や「リーダー」などの記号をうまく使うこともリズム感につながる。
さらにリズム感を出すには、1段落を200文字以内にすることも重要になる。このとき、1センテンスは50〜80文字にする。それ以上になると頭が混乱する。1行1段落も効果的な手法である。短く切る技術を重視することもリズム感につながる。文章は、楽譜と同じ。ぱっと見て読みたくないと思われたら負けである。
文章を書く最大のトレーニング方法は、「ラブレター」を書くことだ。文章をラブレターのつもりで書けば、伝えたい人に伝わる。また、書き手が読み手の心理を読み、どのようなリズム感で読ませるかを考えることも必要になる。「気持ちを込めること」がもっとも重要なことである。
文章を書く仕事をしている人は、何のために仕事をしているのか。それは、読み手を満足させるためである。読み手を満足させることが重要であり、自分が書きたいことだけ書くのは最悪である。もちろん、いいたいことを書くことは必要だが、書いたことが読み手に伝わらなければ意味はない。そこで文章を学び、磨くことが重要になる。
基本はキーセンテンスを意識し、それを構成して、短い文章にする。すべての文章に通じるテクニックである。書く方法が分かれば、書くネタを見つけることが楽しくなる。同じネタでも、どう書くかで考える能力が養われる。自分の文章を身につけることが重要だ。「あなたは夏目漱石にはなれない。しかし、夏目漱石もあなたにはなれない」のである。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授