一流の人は真正面からうけとめない。「正攻法」を放棄するという「成功法」ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

» 2014年12月04日 08時00分 公開
[おかのきんや,ITmedia]
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 開き直りの例も、本書からご紹介します。

 現在、ぶっちゃけトークでブレイク中の、お笑い芸人、大久保佳代子さん、大学時代に光浦さんと、お笑いコンビコンビ「オアシズ」を結成。翌年、フジテレビのバラエティ番組『とぶくすり』のレギュラー出演者に抜擢される快挙。

ところが、スタッフたちから、「光浦は笑えるブスだが、大久保は笑えないブスだから使いにくい」と非難の声。

 「ブスだが実は、本人はけっこういけている女だと思っている勘違い女」というのが、大久保さんの、お笑い芸人としての、キャラ設定でした。ところが、大久保さんは、それはあくまでもキャラ設定であり、キャラを離れた、素の自分は、美人で、いい女、と思っていました。

 だから大久保さん、「ブス」「ババア」と突っ込まれるたびに、本気で傷つき、不快な思いをしていたのです。当然、それが態度に出るので、その場の空気は一変で悪くなります。その結果、大久保さんは解雇され、オアシズからは、光浦さんのみがレギュラー出演として残留、どんどん人気者となっていきます。

 一方、取り残された大久保さん。舞台を中心に細々と芸能活動を継続。ところが、それだけでは生活できないので、OLへと転身します。相方の光浦さんがどんなに売れても、嫉妬心はありませんでした。売れないのは、自分の「プライド」が原因だと悟り、諦観していたのです。

 その後、芸人として、鳴かず飛ばずの不遇な時代が何年も続きました。OL生活8年目に、転機が訪れます。

 『めちゃ?イケてるッ!』に、「光浦の相方で現在OL」を売り文句に、新レギュラーとして出演するチャンスが巡ってきたのです。それでも、人生は好転しません、仕事は『めちゃイケ』だけという、芸人生活が延々と続きます。

 ところが、もうすぐ40歳という、ある日……。「さすがに、もう若くはない、キャラ設定というより、本当に自分はブスでおばさんだ」と、つくづく実感。

自分はブスでおばさんであると、潔く開き直った。

 その瞬間から、突然人気急上昇、2013年には、なんと「最もブレークしたタレント1位」に選ばれたのです。

 この2人を始め、本書でとりあげた、正攻法を放棄した人たちには、ある共通点があります。

 それは、ある瞬間、目標を間違いなく諦めているのですが、自分の目標に対し、成功や失敗を超えた信念があり、心のどこかでは、常に目標を思い続けていることです。

 ただし、思い続けてはいますが、思い詰めてはいないのです。

 目標に対して信念を持ち思い続けるのは、健全です。これが思い続ける、です。だが、目標に対して、執着するのは、不健全です。これが思い詰める、です。

 「思い続けること」と、「思い詰めること」には、天と地ほどの開きがあるのです。

 アニメ界の巨匠、宮崎駿氏は、こう述べています。「僕は思いつめないように、思いつめないようにやってきたんです。思いつめて、この企画がいま通らないと、僕は生きている甲斐がないなんて思うと、すぐ生きた甲斐がなくなっちゃいますから」

 諦める。

 そして、思い続ける。

 まるで、相矛盾することを、同時に並立させる、禅の公案のようですが、この意識の持ち方が、逆転思考を誘発させるポイントなのです。もし、いま、いくら努力をしても、行き詰まっていることがあるのなら、騙されたと思って、一度この方法を試してみてはいかがでしょうか?

 自分事で、恐縮ですが、私自身、怪我の功名的な出来事により、この感覚を利用し、逆境を克服した体験があります。この方法は、コツを掴めば確実に結果を出します。(詳細は、『ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術:逆境を一瞬で打破した人々が体得した「努力」×「閃き」の法則』をご覧下さい)

 さて、冒頭の問い、いくら努力しても、結果が出ないときには、「……」しながら努力すれば成功する。

 「……」に、入る言葉は何か?

 正解。

 いくら努力しても、結果が出ないときには、「リラックス」しながら努力すれば成功する。

著者プロフィール:おかのきんや

エッセイスト・漫画家・企画立案家・「企画のたまご屋さん」出版プロデューサー。西沢泰生氏を見出し、売れっ子作家にする。『壁を越えられないときに教えてくれる一流の人のすごい考え方』、『大切なことに気づかせてくれる33の物語と90の名言』は西沢氏と二人三脚でつくりあげたヒット企画。書籍の企画立案をした主な著名人、片岡鶴太郎、湯川れい子、さくらももこ、など。著書に『しあわせトリック』(ポプラ社)、『人生の時間銀行』(扶桑社)、『「磯野家」の幸福』(晋遊舎)などがある。


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