話題の真田丸からビジネスのヒントを学ぶITmedia エグゼクティブ オープンセミナーリポート(2/2 ページ)

» 2016年06月15日 08時00分 公開
[山下竜大ITmedia]
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死にがいに幸せを見いだした真田幸村

 テレビドラマ、真田丸の主人公は真田信繁である。なぜ真田丸の主人公は真田幸村ではないのか。実は、真田幸村という名前は、大坂夏の陣から約60年後に書かれた軍記物「難波戦記」に出てくる名前であり、後に真田幸村の方が史実のようになった。それでは、大坂の陣とはどのような戦いだったのか。

 1614年、大きな戦が起きる。これが大坂冬の陣である。その背景には、方広寺(京都)の梵鐘の「国家安泰 君臣豊楽」という銘文に徳川家康が言いがかりをつけ、豊臣家との関係が悪化したことにある。戦が決定的になったため、豊臣家は浪人を中心に約10万の兵を集める。真田幸村もこれに応じて大坂城に入り、5000の兵を与えられる。

 また軍議に参加して、「豊臣秀頼、自らが出陣して天王山に旗を立て、積極的に戦うべき」と主張したが、これは却下され、籠城が決定した。当時の大坂城は、何重もの堀に囲まれ、難攻不落であったが、南側の大地だけ開けていた。真田幸村は、もし徳川軍が攻めてくるなら南からと予測し、その弱点を補うために砦を作った。これが「真田丸」である。

 真田丸は、もともと高台の畑の三方に空堀を掘り、柵で囲み、多くのやぐらや銃眼をつくり、5000の兵を入れ、大量の兵糧も運んでいる。この作業を、わずか1カ月で完了した。河合氏は、「真田丸がどのような形だったのかは諸説あり、実際にはどのようなものだったのかは分からないというのが実情である」と言う。

 その真田丸の戦いで、真田幸村は素晴らしい活躍を見せた。真田丸の前方の笹山に砦をつくり、鉄砲隊を配置して徳川軍を攻撃した。前方の敵である前田利常の軍は、堀や小山を作って対抗したが、笹山からの攻撃で、日に日に犠牲者が増えていった。そこで前田軍の奥村摂津守の隊が笹山とりでを奇襲したが、そこはすでにもぬけの殻だった。

 真田幸村は、真田丸の塀の上に立ち、「だれもいないのを承知で鳥狩に来たか? もう帰れ。それとも真田丸を攻めるか。あなた方の甲冑の性能を、われわれの矢じりでためしてみては?」と愚弄した。この愚弄に激怒した前田軍は、真田丸に攻め入るが、激しい銃撃を受け、撤退を余儀なくされた。

 翌日、前田軍は全軍で真田丸を攻めるが、それを予測していた真田幸村は、返り討ちにする。前田軍の進軍を見て、ほかの軍も真田丸を攻めたが、多くの犠牲を払うこととなった。この戦いで、真田幸村という名前が歴史に刻まれることになった。その後、休戦協定が結ばれ、このとき真田丸も完璧に破壊されてしまう。

 河合氏は、「当時、真田丸があったといわれる場所に行ってみたが、残念ながらいまでは何の痕跡も残っていない」と話す。

 大坂の冬の陣後、真田幸村は、徳川方として戦っていた叔父の口利きもあり、信濃国の50万石の領地を提供するので味方につくよう誘われる。しかし真田幸村は、これを拒否し、死を選ぶ。真田幸村、最期の戦いは、茶臼山の陣地から徳川家康の本陣めがけて3度出撃。3度目には、松平忠直の1万3000の軍を突き破り、徳川家康の本陣まで到達する。

 このとき徳川家康は、「もうダメだ」と叫びながら逃げまどい、家臣も散り散りに逃げたため、あわやというところまで追いつめられている。これこそ真田幸村が「日本一の兵(ひのもといちのつわもの)」と呼ばれる所以である。しかし真田幸村は、3度めの出撃で力尽き、安居神社の境内で49年の人生を終えることになる。

 河合氏は、「真田幸村の生涯が、どれだけビジネスに役立つか分からない。しかし真田幸村の人生は、何事もあきらめなければ成し遂げられるということを教えてくれる。生きがいを見つけることが幸せであるといわれる現代だが、真田幸村は死にがいを見つけることに幸せを見いだした人物だった」と話し、講演を終えた。

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