自分を変えるためには、「思考」の使い方を変える、「時間」のとらえ方を変える、「お金」のとらえ方を変えるという3つの鍵が必要になる。鈴木氏は、「当たり前のことだが、同じことを、同じやり方でやっていたら、同じ成果しか期待できない。これまでとは異なること、異なったやり方に変えなければ、新たな効果は期待できない」と語る。
思考、時間、お金の3つの変化で定義すれば、自分や会社を変えるターニングポイントを意図的に作り出すことができる。余談だが、ものごとは3つに分類すると整理がしやすくなる。例えば信号では「赤、黄、青」、食べ物では「松、竹、梅」、ビジネスでは「プランA、プランB、プランC」など。3つの中からもっとも重要な1つを選べばよい。
「思考」の使い方を変えるためには、自分に質問をすることだ。そのための質問項目を頭の中にインストールする。例えば、「結果を出すために、いま何をすべきか?」「結果を出すために大切なことは何か?」などである。しかし問題が。人は時間が経つと自分に質問することを忘れてしまう。そこで重要になるのが自分会議である。
また仕組みづくり、道具選びも重要。円を等分したグラフを使い、それぞれに「目標」や「変化を起こしたい項目」を書き出し、もっとも重要な分野は何か、それぞれの分野に対し100点満点で何点になるかを考え、レーダーチャートを作ることで、自分の思考を容易に視覚化できる。
「道具により、いま本当に集中すべきことに集中しているかをセルフチェックすることができる。頭の中に質問をインストールするのは、頭の中にコーチを雇う、セルフコーチングだと思えば分かりやすい。単に頭の中だけで考えるのではなく、グラフ化したり、手帳を使ったり、道具を使うことが有効になる」(鈴木氏)
また、いきなり絞り込むのが難しい場合には、大きなかたまりを「仕分け」することから始めてみる。可燃ごみと不燃ごみ、夏服と冬服など、生活の中で仕分けすることは多い。それでは、頭の中は仕分けしているだろうか。「頭の中の仕分けは、基準となる軸さえ持っていれば、それほど難しいことではない」と鈴木氏。
頭の中の仕分けの軸とは、「重要なものと重要ではないもの」「変えられるものと変えられないもの」「自分でやるものと他人の力を借りるもの」などである。元ニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜氏は、「コントロールできないことは考えない。コントロールできることに注力する」と語っている。
「時間」のとらえ方を変えるためには、「いま」に集中することである。過去は帰ってこない。一方、未来は不確実である。そこで"いま"に集中することだ。また"いま"のタイミングが是か非かを判断することも重要になる。これは、天職の発見でも、人間関係の構築でも、新商品の発売でも同じである。
一方、「お金」のとらえ方を変えるためには、出資に関する決断を即断即決することである。鈴木氏は、「無意味なコストパフォーマンスを考えないこと。現在のコストパフォーマンスは、9割がコスト削減に注力している。本来であれば、パフォーマンスに注力すべき」と話す。
鈴木氏は、「シンプル思考の3原則は、思考の使い方を変え、時間とお金のとらえ方を変えることである。また、常に振り返りの時間を持ち、頭の中を仕分けすることで、思考をシンプル化できる。シンプル化により、ビジネスにおけるすべての問題を解決できる」と話し講演を終えた。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授