企業の利益の大小に及ぼす影響度は、外部(市場)要因が46%であるのに対して、内部要因(会社の強み)が54%であるという調査結果もあります。市場の影響以上に企業業績に大きな影響を及ぼすのが、内部要因であり、その中で飛びぬけて重要なのがそこに働く人々の意識、マインドであると言えます。
ときにマインドは、不利な状況や力の差といった物理的で統計的な目盛りで測った能力を大きく超えるパワーを発揮することがあります。よく「不安は伝染する」と言います。しかし、一方で、自信も伝染することをトップやリーダーは知っておくべきです。
「リーダーの心得」として、私はよくこういう話をします。
将が勝ちを叫ばなくなれば、兵は勝利を疑う。
将が疑心を表せば、兵は後退を始める。
兵が勝利を信じれば、戦いは必ず勝つ。
トップやリーダーは不安の伝染を予防し、自信を積極的に伝播させるのが仕事です。勝てないかもしれないと思っても、表情や態度に出してはいけません。失意泰然、得意淡然を心がけるべきです。もし、リーダーやトップが不安を示せば、部下は動物的直感で察知し、負けを確信してしまうのです。
だから、口から出る言葉は、たとえ心の中でどう思っていようと、「勝つ」「勝てる」と言い続けなければなりません。言葉はマインドから生まれますから、口だけでなくマインドも鍛えなければなりません。無理にでもそうすることが、リーダーの責任です。
そして、その土台となるのが「信じる力」です。数式で書けばこういうことです。
信じる力=(マインド+スキル)×情熱
情熱は、「わが社をダントツに優れた会社に育てるぞ!」「業界オンリーワンになるぞ!」というリーダーの「やる気」のことです。
しかし、情熱は、マインドとスキルの合計に掛け合わせるものですから、スキルとマインドがなければ、情熱のみにすがることになります。
リーダーには情熱が重要ですが、情熱だけでは十分条件とは言えないのです。リーダーは、それだけシビアな条件が求められるのです。
あなたは、次の質問にイエスと答えられるでしょうか?
夢を現実にする人は、自分、人、運、夢、未来の5つを心の底から信じています。信じる力がレバレッジになって、マインドとスキルを飛躍させ、夢を現実へと近づけているのです。
国際ビジネスブレイン代表取締役社長。1936年東京生まれ。早稲田大学卒業。シェル石油、日本コカ・コーラ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、フィリップスなど、グローバル・エクセレント・カンパニー6 社で社長職を3 社、副社長職を1社経験。現在、会社のアドバイザーや経営者のメンターを務めながら、長年の経験と実績をベースに、講演や企業研修、執筆活動を通じて国内外で「リーダー人財育成」の使命に取り組んでいる。主な著者に、『経営の処方箋』(ダイヤモンド社)、『伝説の外資トップが公開する世界標準のNEMAWASHIの技術』(CCCメディアハウス)、『負けない力』(東洋経済新報社)など多数。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授