健康になるために積極的に食べるのは野菜だ、という概念が浸透している。それは事実だ。しかし、身体を作る原料となるのはタンパク質だ。それが良質なものか、そうでないか、取ってさえもいないか……にもっと目を向ける必要がある。
1日に取るべき目安となるタンパク質量はiPhoneの大きさ3つ分程度。あなたはどのくらい取っているだろうか?夜は飲み中心だから朝食は抜く、もしくはトースト1枚にコーヒーのみ。昼はダイエットでそばだけ……という生活では、良質なタンパク質はあっという間に不足してしまう。
「食事はお腹にたまればいい」という発想で食費への投資が減り、おにぎりとカップラーメンで済ます若い世代も増えている。しかし、それでは「最近の若い者は覇気がない」と言われてしまうのも仕方ないのだ。
なぜなら、タンパク質の構成成分であるトリプトファンは、気持ちをフラットにし、前向き思考のサポートをしてくれるホルモン・セロトニンの原料となるからだ。必須アミノ酸は、食べ物からしか取ることができない。なので、食生活がおろそかで、純粋に“やる気の材料不足”の人を「やる気がない」などと怒ってはいけない。ランチに定食屋に連れていってあげることの方がずっと効果的だ。
先日、経営者の方から「うちの会社はうつ病が多いから、産業カウンセラーも産業医もつけているが、もしも食事が大事ならチェックした方がいいのか?」と尋ねられた。答えはもちろん「できるのであればチェックした方がいい」だ。せっかく休んでいても、必要な材料を身体に取り入れていなければ、根本からの改善が難しくなる。想像してみてほしい。うつで休職中にお給料が平常と同額にはなりにくい。ましてや、退職、無職となって収入が減ったとき、まず一番に抑えるのは食費ではないだろうか。安価でお腹が満たされるもの。中には良いものがあるだろう。しかし、それだけで栄養は満たされない。
一方で、どんなに食生活に気を使っていても、ストレスが免疫力を下げて病気になることもある。毎日お酒を飲み、煙草を吸い、食べたいものを食べ、いつも豪快でよく笑うクライアントの血液検査がオールAだったりすると、ストレスが免疫力に与える影響を感じざるを得ない。
しかし、世の中ストレス耐性が強い人ばかりではない。そんなときには、ストレスへの抵抗力を高めてくれるビタミンCを意識するといいだろう。ただし、ビタミンCは熱に弱く時間の経過とともに減少するという性質があるので、サプリやパックに入った野菜ジュースよりも、生の野菜や果物を取ることを薦めている。
いざ、心にトラブルを抱えたとき、カウンセリングを受ける時間は長くても1時間。しかも、毎日のことではない。しかし、食べることは毎日のことだ。そして、その食べ物によって心身が機能する時間は365日24時間、人生の長さと同じだけある。それだけに、食べ方ひとつで変わることは本当に多い。
努力している人が結果を出せるまで働き続けられるように。自身のキャリアを積み重ねられるように。あなたの基盤を強固にするために、本書を参考にしてもらえたらそんなにも嬉しいことはない。
聖心女子大学文学部哲学科卒業後、香川栄養専門学校にて栄養士免許取得。食を通じた心と体のケアの専門家として、都内心療内科クリニック併設の研究所での食事カウンセリングやセミナーなど、これまでに8000通り以上の食事記録をみてきた。著書には15万部を超えた「甘い物は脳に悪い」(幻冬舎)や「成功する人は生姜焼き定食が好きだ」(晋遊舎)など。ダイヤモンド・オンラインで「男を上げる食事塾」を連載中。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授