ちょっと裏話になるが、なにしろ本書を書くために費やした歳月だけで約1年ほどになるし、100冊の本を書くためには、まずは100冊以上の海外ビジネス書を読破しなければいけない。
当たり前の話であるが、読むだけでも一苦労だし(残念ながら僕は佐村河内氏のようにゴーストライターを使用していない……)、それ以前に「どの本を取り上げるかを吟味する」ために、過去に読んだ数千冊のビジネス書、専門書をピックアップし、分類するだけでもかなりの労力であるのは想像がつくと思う。
さらに実際の執筆にあたっては、常に手元に海外ビジネス書を置き、読み直しては整理する作業が延々と続くのだ。そこまでして書いた本だとしても、特に誰かに褒められるわけでもない。そこにはお客さんにとってコストパフォーマンスの高い1冊が残るだけだ。しかし、それでいいと思っている。
先日もある海外翻訳で有名な老舗出版社に行った際に本書で掲載している本の担当者から突然、お礼を言われたことがあった。僕が紹介させてもらった本の1冊1冊にそれぞれ著者や編集者、翻訳者などがいることを思えば、ビジネス書によって人生が変わり、やがてビジネス書の著者となり、さらにはビジネス書の著者を養成する塾まで開催している身であれば、業界全体への恩返し的な意味合いもあるかもしれない。いや、そう思うことにしょう。
繰り返しになるが、本書は古今東西の海外ビジネス名著から100冊を選んでエッセンスを紹介している。とはいえ、「なぜビジネス書など読まなければいけないのか?」という疑問もあるかもしれない。あるいは部下からそのような質問を受けることもあるだろう。それに対する答えは本書でも書いたがおよそ以下のような理由となる。
つまり、日本の学校では、教科書にのっとった授業がされ、テストの偏差値で順位が決まり、大学進学やその後の就職が決まるとされている。しかし、右肩上がりの経済成長が終わり、終身雇用が崩壊した日本社会においては、国家がレールを敷き、教師や親が推薦する学校教育をベースにした人生のキャリアプランでは、十分ではない若者も多いはずだ。
現に、親や教師の言う通りに真面目に勉強してきたあげくに、就職試験でし烈な競争にさらされ、せっかくいい会社に就職しても将来の不安から結婚できなかったり、結婚しても安心して子供を作れない状況にある人も多いと聞く。
僕自身も20代で独立した後は、会社経営を経て作家、コンサルタントと既存のレールに乗らない生き方をしているが、その道標になったのは優れたビジネス書などから得た知識、知見、考え方、生きる姿勢、最新のビジネスモデルである。
アインシュタインは、「常識とは二十歳までに集めた偏見のコレクションである。」と言った。僕自身の経験からいっても学生から社会人になるためには頭の中をアンインストールして、新たなOSをインストールする必要があると思う。
最近は自分の子供を見ていても、学校を卒業したら一度、学生時代に教わったことを忘れて、ゼロから自分の生き方にあった知識などを習得しなおす必要があるな、と感じている。いずれにせよ、大事なのは環境に左右されず、自分の力で道を切り開いていく力なのである。
成功するために学ばなければいけない知識は多い。本書は成功について体系的に学べるようにジャンル別に紹介してある。みなさんも本書を入り口に、優れた海外の名著と出会い、人生を良い方向に変えて行ってもらいたいと思っている。本書がその水先案内になれば幸いである。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授