保障については、社会保険の加入や会社でかける生命保険に加入できるため、個人事業者の時よりも保障が手厚くなります。また、人材募集・採用を行う際には、会社であることの信用も重なり優位に働きます。優秀な社員を雇うため、たとえ給料がそこまで出せなくても福利厚生費などで勤続満足度を経費で賄えるというのも有益な仕組みです。
ここで挙げているのは個人事業者が会社を作ろうか悩んでいるときに、会社のメリット、デメリットを事業内容以外での比較点を挙げることにより、自分自身にとって何を選択するべきなのか整理でき、「会社を作る」という大きな決断の背中を押せる内容となっているはずです。
起業するということはこれまで毎月確実にあった収入が無くなります。そのため、家族がいれば反対される可能性があります。その先にある成功のためのステップであることを充分に理解してもらったうえで家族に協力してもらうことも必要です。家族は最高のサポーターですから、家族を説得できないようなら考え直した方がいいかもしれません。
個人事業者から法人になり、脱サラから起業とシチュエーションは違っても自分のやりたいことをかなえるために会社という器を上手に使いこなすことを目指していきましょう。料理がおいしくない、サービスの悪い飲食店はいずれ客足が途絶え廃業します。同じように事業も受け入れられなければ廃業するので、夢を持ち起業という人とは違う道を選んだ以上後悔しないように、実行できる資金を稼ぐ、経営を学ぶという点につきると思います。その初期で一番重要となるのが、この本で記載している「どのような意思」で、「どのように使う」会社を設立するのかということではないかと思います。
安易に会社を作ることに賛成するわけではありませんが、経験を積んでから、もう少し準備を整えてから、など守りに入ってしまうと会社を作るタイミングを逃し、気付いたころには歳をとり若い時のようには行動できなくなってしまう場合もあります。もちろん、第2の人生として会社を作ることも少なくないですが、準備万端だから会社経営がうまくいく。そんなわけはありません。人を雇い経営者となるのは、30歳で会社を作る人と50歳で会社を作る人、どちらも経営者1年生に変わりはないのです。もちろん、それまでの人生経験が経営に全く役に立たないわけではありませんが、ある程度の準備が整えばスタートは早いに越したことはないと思っています。
最後に自分の器の中で安全に生きる人生もひとつでしょうし、その器を大きく広げるために多少の冒険もしながら楽しむ人生もあります。私は、後者でありたい。あり続けるために今何を考え行動すべきか、そんなことを思いながら日々を過ごしています。そしてこの本を手にした皆さまの事業の成功をお祈りします。
社会保険労務士、年金アドバイザー
税理士事務所において経理業務・税理士補助業務、社会保険労務士事務所において社労士業務に従事する。
2007年に社会保険労務士試験を合格し、2010年4月に社会保険労務士事務所を開業し、現在は労働時間管理やメンタルヘルス、人事評価など人事に関する問題のプロフェッショナルとして悩める経営者の相談役をしている。
主な著書に
「税務・経理・人事ハンドブック」DHB制作委員会著 C&R研究所
「マンガで社労士 国民年金法」住宅新報社。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授