実は僕の中で、一番の趣味である“サッカー”に関しては、本を書かないと決めていた。どんなに好きなことでも仕事になると、ただ「楽しい」だけでは済まなくなる可能性があるからだ。例えばサッカーの記者になると、当然お酒を飲みながらサッカー観戦するわけにはいかないし、試合後もまず原稿を書かなければならない。
それにサッカーに対して何か仕事で物を書くようになると、色々な責任が発生する可能性があり、とても気軽に楽しめるという雰囲気ではなくなってしまう。だから、これまで、自分がどれだけサッカーについて愛着があったとしても、書籍のテーマにすることは頭の中から捨てていた。しかし、今回、本書の担当編集者氏から、サッカー選手に学ぶ成功哲学」というテーマを貰った時、「これは僕が書くべきテーマなのかもしれない」と自然に思うことができた。
先に書いているように本田圭佑選手や長友選手など海外で活躍するトップ選手の発言は僕からすると「思考は現実化する」のナポレオン・ヒルや「人を動かす」などのデールカーネギーと本質的にあまり変わらない。いや、むしろそっくりなことを言っている。これはサッカー選手として成功するにはテクニックや体力、運動能力よりも「マインドが大事なのではないか」と気づいたのだった。
僕自身、プライベートでは、これまで多くのサッカー選手と関わってきた。そんな中で、プロにこそなっていないけど、ずば抜けて技量の高いプレーヤーもたくさん見てきたが、彼らと本田選手や長友選手の「差」は「成功マインド」くらいではないかと思う。
W杯は86年のメキシコ大会からずっと観戦してきており、つまり、僕の人生の節目には4年に一度のW杯が関わっており、過去のさまざまな出来事がW杯とともに記憶されている。例えていうなら、僕はW杯暦にそって生きていると言っても過言ではない。
高校時代にはイタリア大会があり、大学卒業の頃にはドーハの悲劇とJリーグブームの後にアメリカ大会があった。98年のフランス大会では働きづめで使う暇のなかった貯金を引き下ろして現地開催し、すっかりパリの自由な雰囲気に感化され、帰国と同時に会社に辞表を出してしまったほどである。
2002年の日韓W杯時はビジネスも上り調子で公私ともに充実していたが、2006年のドイツ大会の頃にはすべてを失い絶望の淵にいた。それでも、なぜかW杯観戦でドイツにいたのだが、自身の悲惨な状況とは裏腹に、南ドイツの青い空にビールとソーセージ。そしてW杯とサッカーが僕を癒してくれた。
2010年の南アフリカ大会時は作家として1年で5冊も本を出した。僕の本はデビューから一貫して、失敗した人を元気づける、世の中の人を幸せにすることを書く、子供達の役に立つことを書くと決めており、過去の本は自身の経験と再生の過程で読んだビジネス書や成功哲学を絡めたものがほとんどだった。今回、改めてビジネスの成功法則と、サッカーのトッププレーヤーの考え方には多数の共通点があることに気付き、皆さんの人生や仕事やサッカー観戦に役立つ本になればと思い執筆した。
いわばビジネスや人生の成功法則をサッカー選手の生き方から学べるわけである。また、多くのサッカー選手の名言がちりばめてあるので経営者層にとっては朝の訓示や朝礼のネタ拾いにもなるだろうし、普段ビジネス書など読まないサッカー好きの若い部下に薦めても喜ばれるはずだ。これまであまりサッカーに興味のなかったビジネスマンの方々にもサッカー選手のユニークな生き様を知っていただき、少しでもサッカーが好きになってくれれば幸いである。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授