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» 2014年02月27日 08時00分 公開

ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術:「それ、根拠あるの?」と聞かれた時の統計分析 (2/2)

[柏木吉基,ITmedia]
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効果的なデータの集め方

 さて、手段が決まったからといって、やみくもにデータを集めても意味がありません。さらにいえば、「こういうデータが欲しい」と思っても、なかなか都合のいいデータなどは見つからないものです。

 ここで、私が実務で行っているデータ収集のコツを紹介します。

(1)仮説の一歩外までデータを集める

 一歩外まで集めると、後でベンチマークをするときや、データ切れになったときに救われます。

(2)データの軸に着目して収集する

 多くのデータは、「時間」、「場所」、「商品」、「年齢」、「顧客の属性」などの"軸"(属性)を持っています。これらの"軸"に着目してデータを集めることで、分析の幅に広がりが生まれます。

 例えば、ある月次の販売データを入手したとしましょう。同じ販売データでも、「時間」"軸"に着目し、週次や日次のデータも準備できれば、それだけで使えるデータはさらに2種類増えたことになります。週次や日次のデータは、月次のものとは違った視点や分析結果を見せてくれます。

(3)目的に合ったデータの範囲を意識する

 過去から現時点までの状況を説明するにも、いつからのデータをとるかによって、その結論が変わります。いくつかの範囲を選択して分析し、その違いの有無を確認することが、範囲選択の違いによる影響を見過ごさないためのリスクヘッジになります。

(4)外れ値は理由を考えて処理する

 データ全体の中で、明らかに他のデータと異なる突出した値を持つデータポイントを「外れ値」と呼びます。1つの外れ値が、その突出の仕方によって、分析結果に大きく影響を与えることがあります。影響を与えた結果として、本来求めていた結果が得られなくなってしまう場合もあり、注意が必要です。

 例えば簡単な例として、ある日ある時間帯にドラッグストアーに来店した50人分の平均売上額を算出したとします。大体のお客さんは1500円程度の買い物をしていたのに、1人だけ20000円の買い物をした人が紛れ込んでいた場合、平均は20000円の値に引っ張られて、実際の感覚とは大きく差が生じてしまうでしょう。

 この場合、もっとも大切なことは、「外れ値が存在していることを認識していること」です。それによって、盲目的にデータをそのまま使うことが避けられるからです。

 「数字に強いビジネスパーソンになろう」。さまざまなところで言い尽くされてきた言葉です。誰もが頭では分かっているものの、実際に日々、仕事をしている自分に結び付けるのは難しい。そう感じている人は多いのではないでしょうか。

 数字は、何かしらの手を加えて初めてて、見えなかった情報が得られます。この「数字への手の加え方」が、「統計」や「データ分析」です。データはあるにも関わらず、この「手の加え方」が分からないために、貴重な情報を見逃しているケースが実際にはたくさんあります。

 でも、ちょっとしたコツとノウハウで、統計やデータ分析など数字を扱うことのハードルが下がり、もっと数字を有効に使えるようになれます。この範囲であればすべてエクセルでできるので、今まで「数字が苦手」と思っていた方も、ぜひ試してみてください。

著者プロフィール:柏木吉基(かしわぎ よしき)

1972年神奈川県生まれ。慶應義塾大学理工学部卒後、日立製作所入社。米国Goizueta Business SchoolにてMBA取得。2004年日産自動車へ。海外マーケティング&セールス部門を経て、組織開発部ビジネス改革チームマネージャ。役員の下で、「新規ビジネス戦略策定」「新会社・組織の設立提案」、「グローバルでの業務プロセスの分析・評価・改善」「人材育成計画」「人・モノなどのグローバルリソース最適化」等の経営課題解決プロジェクトに従事する。Decision Science(意思決定論)をライフワークにし、実務家として、実践的でわかりやすい研修講義にも高い定評がある。世界120か国、旧東海道500キロを踏破。


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