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» 2012年03月28日 08時00分 公開

海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点:ソーシャルメディアの投資収益率 (3/3)

[エグゼクティブブックサマリー]
エグゼクティブブックサマリー
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ビジネスとソーシャルメディアの整合

 ソーシャルメディア業務が現在行われているビジネス活動とどう関連があるのか理解するには、会社の組織図と、それに類似した、すべてのソーシャルメディア業務の組織図を作って下さい。

 また、ソーシャルメディアをうまく運用するために必要なテクノロジーは、コンピューターやサーバーだけではありません。ソーシャルのメディア専門家同士のコミュニケーションを可能にするシステムや、ソーシャル・カスタマー・リレーションシップ・マネジメント(SCRM)プラットフォーム、そしてソーシャルメディア活動管理ダッシュボードを準備しなければなりません。

 顧客が企業を通して経験することは、企業のマーケティングメッセージと一致していなければなりません。もし一致しなければ、企業はソーシャルメディアサイトで非難を浴びることになります。

 そのため、企業は、オンライン上で人々が自分達について何と言っているのか監視し、それに対応しなければなりません。透明性を持ち機密保持を徹底すれば、オンライン上の評価は維持されます。また、デジタル危機管理やオンライン評価管理は不可欠な活動です。従業員がオンライン上で言って良いことと悪いことを定めた指針を作り、施行して下さい。

 ここに言及されていることはソーシャルメディア運用には本当に重要なことです。仮にソーシャルメディアを抜きにしても、組織として部署間がどのように連携しているかを把握しておくことは必須でしょうし、それにソーシャルメディアがリンクする訳ですから、ソーシャルメディア上での連携もしっかりと理解しておくことが必要です。

ソーシャルメディアプログラムの最善の実践方法

 ソーシャルメディアプログラムの活動を計画したら、その活動を担当する人間にトレーニングを提供し、彼らが自分達の役割をきちんと理解しているか確認して下さい。彼らの目標、職務権限、手順を明確に示して下さい。すべての業務スケジュールを掲示することも重要です。

 プログラムマネジャーは、ソーシャルメディア部の従業員全員と毎日コミュニケーションを取る必要があります。また、IT担当者と密接に働き、ソーシャルメディアプログラムが適切な技術支援を受けられるようにしなければなりません。さらに、適切な主要業績評価指標(KPI)をすべて測定して下さい。プログラムの進捗状況や結果は経営者に報告して下さい。

 ソーシャルメディアを運用するためにはその運用方法を社内全員で共有し、それについての権限をしっかりと理解させ、コミュニケーションを蜜にするということは基本中の基本です

測定

 KPIは、ソーシャルメディアプログラムが順調に機能しているかどうか教えてくれるものです。ウェブサイトの訪問者数やRSSフィードやブログへの登録者数を測定して下さい。KPIを使う際は、関連性のあるKPIを使って下さい。例えば、ソーシャルメディア活動と相関する売上の上昇などです。このようなKPIは、Twitterのフォロワーの数や、ブログに寄せられた好意的なコメントの数より関連性があります。

 また、「FRY尺度」を使用して下さい。FRY尺度とは、「Frequency(頻度):顧客が自社から製品を購入した回数」、「Reach(接触):どれだけ上手く顧客に接触し、新規顧客を確保したか」、Yield(収穫):顧客が自社で消費した金額」です。

 その他にも、測定が可能だと思われる要素をすべてリストアップし、モニターして下さい。また、測定担当者が客観性を持って測定に当たっていることを確認して下さい。つまり、結果に対し中立でなければならないということです。測定は、次の4つの要素を網羅していなければなりません。

測定に最も重要な4つの要素とは?

 1、モニタリング:ビジネス目標に合致した監視システムを取り入れて下さい。

 2、測定:企業にとって価値のあるものを基準に、測定したものの価値を見出して下さい。

 3、分析:集めたデータの解析結果が、ソーシャルメディアプログラムにとってどのような意味があるのか究明して下さい。

 4 、報告:正しいデータをしかるべき形で適切な人間に提出して下さい。

 集めた情報から学び、それに従ってプログラムの運用を調節し、再試験を行って下さい。効果測定することで、現在の運用のあり方を視覚的に把握できるわけです。ここにある4つの情報を正確に把握してください。

投資収益率(ROI)

 企業経営者はまさに投資収益率(ROI)を崇拝しています。なぜなら、ビジネスの核心は利益を生み出すことだからです。また、経営者は「機会費用」にも細心の注意を払っています。機会費用とは、あるビジネス活動を他の活動の代わりに選んだことで失う時間やお金のことです。

 例えば、ソーシャルメディアプログラムに10万ドル費やした場合、その他のマーケティング活動にその10万ドルを費やすことができたということになります。そのため、ソーシャルメディアプログラムは、妥当なROIを達成し維持するものでなければなりません。

 会社からの継続的な投資を確保するためには、予算を生産的で収益性の高い形で使用していることを証明して下さい。

 ROIは常に財務結果を示すものであることに気を付けて下さい。その他の結果は含まれません。例え、Facebookのファン数やユーチューブに投稿した動画のダウンロード数が増加しても、そのようなソーシャルメディアで獲得した結果が反映されることはありません。

 ソーシャルメディア活動とプラスの財務結果との直接的な相関関係を示せば示すだけ、現在そして未来で、活動を社内に順調に広めることができるようになります。例えば、Twitterのフォロワーになってくれた新規顧客が、一定の購入額を占めていることを示すことは、素晴らしい相関関係を示すことになります。

 「カスタマーサービス・チケットの一部をTwitterに移すことで16%のコストダウンを達成」や「Facebookでの販売促進キャンペーン中に、オンライン売上16%上昇」などといった、重要なビジネス目標に関連するプラスの投資回収成果を示すことで、ソーシャルメディアプログラムへの投資の正当性を証明して下さい。このような具体的な投資回収成果は、上級管理者に好印象を与えることができます。FRY尺度で計ったプラスの財政的リターンを示して下さい。

 ここに書かれていることこそ、経営者の真実の考え方です。ソーシャルメディアは運営することがゴールではなく利益を上げることなのですから、これこそシビアに考えることといえるでしょう。

著者紹介

オリヴィエ・ブランチャードは、従来のプログラムとソーシャルメディアプログラムの計画立案を手助けするブランド・ビルダー・マーケティング社、および、ソーシャルメディアの使用と活用について経営者にトレーニングを提供するレッド・チェア・グループ社の経営者です。


プロフィール:鬼塚俊宏ストラテジィエレメント社長

鬼塚俊宏氏

経営コンサルタント(ビジネスモデルコンサルタント・セールスコピーライター)。経営コンサルタントとして、上場企業から個人プロフェッショナルまで、420社以上(1400案件以上)の企業経営を支援。特に集客モデルの構築とビジネスモデルプロデュースを得意とする。またセールスコピーライターという肩書も持ち、そのライティングスキルを生かしたマーケティング施策は、多くの企業を「高収益企業」へと変貌させてきた。


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