「30代の働き方は挑戦だけが求められる」――30代の時間を1分たりとも無駄にするな!ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

» 2013年06月27日 08時00分 公開
[小杉俊哉,ITmedia]
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「リスクをとらない」キャリア選択が通用した時代は終わり

 依頼を受けた企業のキャリア研修で、自身のキャリアについて話すことがある。特に、30歳で家内と子供を連れて私費で留学したことや、39歳のときに企業勤めを辞めて独立したところに、反応されることが多い。そのときに、必ず聞かれる質問がある。それは、「よくそんなリスクを取りましたね? 失敗したらどうしようかとか考えなかったのですか?」というものだ。

 リスクとはなんだろうか? 与えられた仕事をただひたすらやることがリスクを取らないということなのだろうか? 

 かつての、終身雇用という暗黙の了解で企業が採用し、新卒者が入社していたという関係が完全に崩れているのだ。今や、終身雇用を謳う会社は限られた数社を除いてほとんどない。それは、現経営陣が新入社員の40年以上先まで保証出来る筈がない、というあまりに当たり前のことを漸く認識するようになったからに他ならない。企業がそのつもりはないのであるから、そこで働く社員たちもそのことを自覚する必要がある。

 今や企業と社員は対等な関係になった。といっても、個人の地位が上がった訳ではまったくない。企業側も、個人側もどちらもその関係を維持するには不断の努力が必要になったということだ。

 企業は、個人の能力と成長の機会を提供することが求められる。したがって、人材が魅力を感じる仕事、職場、キャリアを提供し続ける必要がある。

 個人は、絶えざる自己成長と会社への貢献をコミットすることが求められる。したがって、組織ニーズに見合うエンプロイアビリティ(就業可能能力)を高めるための自己投資をし続ける必要がある。

 企業側がその努力を怠れば、優秀な人材から辞めてしまうし、個人がその努力を怠れば、要らない人材となってしまう。つまり、お互い親子関係のような馴れ合いはなく、そこには常にある種の緊張関係があるということだ。その結果、双方がハッピーで長期的な雇用関係になれば素晴らしい。

 しかし、長期的雇用関係が前提ではない。このように考えれば、ただ与えられた仕事をしていることほどリスクではないだろうか。

著者プロフィール:小杉俊哉

THS経営組織研究所代表社員。慶應大学SFC研究所上席所員(訪問)。

早稲田大学法学部卒業後、NEC入社。30歳のときに、会社を休職し自費でマサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院に入学、修士課程修了。33歳でマッキンゼー・アンド・カンパニー インク入社。34歳でユニデン株式会社人事総務部長。36歳でアップルコンピュータ株式会社人事総務本部長を経て、39歳で独立。2001年より2011年まで慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科准教授。専門は、人事・組織、キャリア・リーダーシップ開発。組織が活性化し、個人が元気によりよく生きるために、組織と個人の両面から支援している。著書に、『リーダーシップ3.0-カリスマから支援者へ』(祥伝社新書)、『パーソナル・リーダーシップで仕事を進めろ!?9つのビジネス筋トレ』(ぱる出版)、『ラッキーな人の法則』(中経出版(同タイトルのDVDもTSUTAYAにてレンタル中))など多数。


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