もう、本当に初歩的なことでいいのです。メニューを開いたら、「馴染みのあるもの」ではなく「普段、あまり食べない食材」を選ぶ癖づけをしてください。男性は、女性よりも馴染のあるもの、知っている味にひかれがちですが、それでは栄養が偏って、代謝の良い体にするための栄養はもちろん、脳が正常に働くための栄養も不足する可能性が高くなってしまいます。
選び方は実に簡単です。普段、白米を食べているのならば、雑穀米を選ぶ、肉を食べることが多いなら魚を選ぶ、鶏肉ばかりではなく牛肉を選ぶ、家で生野菜を食べる習慣がないのであれば外ではサラダを足す、と言った具合にです。低カロリー高タンパクだから、と鶏のささみばかり食べていてはダメなのです。
アメリカのR・ウィリアムズ博士は、栄養素を「生命の鎖」と称し、いわばネックレスのように、どこかに不足があれば鎖が切れやすくなる、と言っています。そばが良い、サラダが良い、そう言い切れれば簡単ですが、仕事と同じように、本当に自分に必要な食べ物を見抜く目、動物的勘を鍛えてほしいと思います。
また、仕事のストレスから過食に走る、というのはよく聞きますが、深夜の過食は良質な睡眠を妨げ、疲労を癒すことなく翌日を迎え、心のゆとりや集中力を低下させます。残念なのは、睡眠不足になると、食欲が増す、太りやすくなるホルモンがさらに分泌されるようになることです。せめて、過食によってストレスが発散できたらいいのですが、体が重くなっていくのに比例するようにストレス度も増える、というのが実際のところではないでしょうか。でも、この過食に走る要因にも、栄養不足が疑えます。カロリーは取っていても、必要な栄養が充足されていず体が何かしら求めてしまうのです。
ランチ後にゆとりがあれば、いつもより少し長めの距離を歩いてオフィスに戻ってみてください。食後一時間以内に運動をすると、血糖値の上がり方が抑えられるといいます。つまり、同じものを食べていても、中性脂肪としてため込みにくく、午後の眠気も軽減できるのです。仕事に戻る時間は数分単位で遅くなるかもしれませんが、その後の集中力で失った時間を充分取り戻せるはずです。ただ、激しい運動となるとまた話が変わってきますので、気持ち足早に、昼休みの残り時間でウォーキングするくらいがお勧めです。歩くことで脳に刺激がいくので、長い午後のタスクをサクサクと進める意味でも良いはずです。
時に、過酷な決断を迫られ、何を差し置いても取り組むべきことがある経営者、リーダーの方。長年、第一線で活躍し続けたいと思ったときには、食事はその土台として欠かせないファクターです。でも、食事だけに注力できないのも現実です。しかし、心身に健康をもたらすダイエットは、我慢からではなく「不足を補う」ところから始めます。生活を大きく変えなくてはいけないような、負担のあるものでもありません。今の生活に何をプラスするともっとよくなるのか。それぞれの答えを本書から見つけていただければ幸いです。
栄養士、食事カウンセラー、フードアナリスト
都内心療内科クリニック併設の研究所で食事カウンセリングに携わり、これまで10,000通り以上の食事記録をもとに栄養指導をしてきた。現在は、心と身体のケアを専門にフリーランスの栄養士として活動をしている。多忙なビジネスマン向けのリアルなアドバイスには定評があり、執筆や講演なども行う。また、作り手のストレスをなくすことも大事、との思いから簡単にできて栄養にも配慮したレシピ提案もしている。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授